【復刻】米大統領選 バイデン氏対トランプ大統領の直接対決は罵倒合戦/2020年10月掲載
米大統領選で対決する民主党のバイデン大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(78)が27日(日本時間28日)、4年ぶりのテレビ討論会で激論を交わす。2020年の大統領選の第1回討論会(2020年9月29日)では、両氏が罵倒しあう激しい応酬を見せ、20年10月22日の第2回討論会では、それぞれの冒頭発言で一方のマイクを切る妨害回避措置が取られるなど、異例の経緯をたどった。当時の記事を復刻し、お伝えします。(2020年10月1日掲載、肩書や年齢などは当時のもの) ◇ ◇ ◇ 11月の米大統領選の行方を占う第1回候補者討論会が9月29日、オハイオ州クリーブランドで開かれ、共和党の現職トランプ大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)が、異例の罵倒合戦を繰り広げた。最終盤に差し掛かる選挙戦で初の直接対決だったが、互いに相手の発言を遮り、政策論争より個人攻撃が目立った。第1ラウンドから「前代未聞の侮蔑合戦」と酷評された直接対決。今後さらにヒートアップしそうだ。 ともに濃紺のスーツに身を包んだ2人は、笑顔で登壇した。全米を含め世界の視聴者が見守るテレビ討論。新型コロナウイルスに配慮して握手を交わさなかった2人。時間を置かずに罵倒合戦に突入した。 攻撃的なトランプ流はいつものことだが、バイデン氏も個人攻撃を重ねた。トランプ氏の対応が批判されたコロナ対策について「あなたはゴルフのバンカーに身体をうずめていただけ。プランがない」と批判。敵と目を合わせなかった。トランプ氏は「批判はフェイクニュースのせい。バイデンは(厳しい防止策で)国を破壊しようとしている」と応戦。「彼がもっと賢くならないと、もっと多くの人が死ぬ」としたバイデン氏に、トランプ氏は「賢いなんて言葉を使うな。あんたは大学で最低の成績だった」と声を荒らげた。 一方、トランプ氏の連邦所得税未納疑惑を念頭に、討論前、昨年約30万ドル(約3300万円)を納めたと主張したバイデン氏は「あなたの納税額は学校の先生より少ない」と皮肉。トランプ氏は「私は何百万ドル(数億円)も税金を払った」と反論した。 「うそつき」「史上最低の大統領」と批判を続けるバイデン氏に、「愚か者」と返すトランプ氏。罵倒や批判の繰り返しに、司会者が「国民は中身のある議論を聞きたいはず」と、いさめたが、支持率でバイデン氏に後れを取るトランプ氏は、他人の発言中に割り込み、持ち時間ルールも度々無視。コロナ対応で郵便投票が拡大する中「それでは不正な選挙になる」と、繰り返した。 終了後、米CNNは「これは討論会ではない。勝者はなく、負けたのは米国民だ」と酷評。ニューヨーク・タイムズ紙は「醜悪な闘い」と切り捨てた。米CBSニュースは放送後、バイデン氏勝利が48%、トランプ氏は41%とする世論調査を伝えたが、CNNは投票には影響しないとの見方が大半だったと報道。2人の直接対決はあと2回。次もののしり合いになるのか。 ◆過去の主な米大統領選候補者討論会 ◆1960年 ニクソン(共和)VSケネディ(民主) 最初のテレビ討論。若くテレビ映えした言動でケネディ氏が勝利に前進 ◆76年 フォードVSカーター フォード氏が国際政策で失言、失速 ◆80年 レーガンVSカーター 俳優出身でテレビ慣れしたレーガン氏が好印象で突き放す ◆00年 子ブッシュVSゴア ゴア氏が何度もため息をつき、イメージ悪化 ◆08年 マケインVSオバマ 冷静追及のオバマ氏にマケイン氏思わず「あいつ」 ◆16年 トランプVSヒラリー・クリントン 女性蔑視発言、私用メール問題と互いの弱点の非難合戦。クリントン氏の評価上がらず。