紫式部の「清少納言dis」が生まれた悲しい瞬間に複雑な心境、一方で双寿丸をヒントに新風が?【光る君へ】
双寿丸の言葉をヒントに…彰子・まひろコンビの起こした新風
そんな重い展開が多かった41回のなかで、唯一ホッとさせてくれたのが、すっかり賢子に餌付けられたワンコ状態となっている双寿丸。私たち視聴者は彼を散楽師・直秀(毎熊克哉)と重ねていたが、まひろにとっては幼い頃「三郎」と名乗って、身分を隠して仲良くしていた道長がダブったよう。混乱して「足で字を書くの?」「実は高貴な生まれではない?」とトンチンカンな質問する様は、双寿丸じゃなくてもとまどうに違いない。 SNSも「※実体験に基づく質問です」「双寿丸、直秀ではなく藤原三郎道長2号として認知される」「まひろに染みこんだ三郎の影響がすごい(笑)。ベストセラー作家なのに奇人変人に見られてる」「あー、道長から失われつつある三郎性を娘の彼氏に見出してるのか」「結局やっぱりまひろにとって一番大事で心の中にいつもいる男は道長くんなんだなあ」と、まひろの気持ちに改めて気づいたというコメントが。 そして双寿丸の言葉をヒントに、女だから政に関われないのなら、弟たちを仲間にして、間接的に政に関わろう! と彰子に助言を与えるという流れにも、「仲間ー! 双寿丸からのヒントー!」「仕入れた知識を早速アウトプット」「新しい考えに触れてそれを受け入れて、柔軟に取り入れていくのはまひろの強み」「彰子さまと道長の対立を手助けするのがまひろなの、道長くんへの皮肉すぎてくすくすしちゃう」などの、ワクワクするような言葉が並んだ。 今も歴史に名を残すような政のトップにいる人間ではなく、おそらくはなんの記録も残らないような一人の若者が何気なく語った言葉が、文学者の並外れた直感によって、時流を動かすきっかけとなる。政の中枢にいる道長くんサイドの話がきな臭くなってきただけに、この彰子・まひろコンビの起こした新風は非常に爽やかで痛快に写った。 しかしこの動きが道長にとっては、本当に父の政を支えることになるのか? 逆に足を引っ張ってしまうのか? もし後者となった場合、その黒幕がまひろだと知ったら、道長くんはどんな顔をするのだろう・・・。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。11月3日放送の第42回「川辺の誓い」は、立后をめぐって道長と三条天皇(木村達成)がさらに対立を深めていき、道長に異変が訪れるところが描かれる。 文/吉永美和子