受賞作の表現手法や創造性に注目 越中アートフェスタで審査員、評価のポイント解説
富山県民会館で開催中の「美の祭典 越中アートフェスタ2024」の講評会が17日行われた。審査員が受賞作の表現手法や評価のポイントを解説し、美術ファンらがじっくりと耳を傾け、作品の世界を味わった。 日本画家の坂田潤世さんと写真家の中尾譲治さん、彫刻家の熊谷喜美子さんの3人が担当し、会場に展示されている入賞・入選作467点から、受賞作を中心に解説した。 坂田さんは優秀賞に選ばれた中山友莉菜さん(富山市)の日本画「勇壮」を解説した。縦2・1メートル、横1・7メートルの大画面にソテツの木々を描いた作品で「印象に残る大きな絵でありながら、細部までよく描かれている。これからが楽しみな作家」と評価した。 中尾さんが取り上げたのは、優秀賞を受けた永森一則さん(同)の写真作品「廃墟に芽吹く」。黒ずんだ外壁と青い花のツユクサの対照的な様子を捉えており「1枚の写真の中に明と暗、時代的な流れを感じさせ、作者の創造性と内面性がうかがえる」と語った。
熊谷さんは優秀賞に選ばれた上原田梓さん(同)のガラス作品「無意識を見つめるII」を紹介。巨大な卵のように膨らんだガラスの内側にミラー塗装を施した作品で「金属でできていると思わせるようで面白い。偶然にできた気泡や線もうまく生かしてあり、完成度が高い」と話した。 会期は20日まで。入場無料。講評会は同日もあり、午前11時から開く。県と県芸術文化協会、県美術連合会主催、県文化振興財団と北日本新聞社共催。