「光る君へ」ラストシーンが物議 「4秒静止」「伊藤健太郎」「ターミネーター」演出に戸惑いの声も
■伊藤健太郎演じる「双寿丸」のラストシーン また、くだんのラストシーンは、道中で戦に向かう双寿丸の背中を見送った後に「嵐が来るわ……」というまひろのつぶやきで終了したが、これが“ある映画”を想起させるとして話題となっている。 「1984年に公開されたハリウッド映画『ターミネーター』のラストで、リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーが少年の『嵐が来る』という言葉に『わかっているわ』と返すシーンを連想した書き込みも見受けられました。『I'll be back.(アイルビー・バック/戻ってくる)』と並ぶほど同作でも印象深いこのセリフは、『これから一波乱あるぞ』という前兆や“続き”を示唆する効果がある。『光る君へ』のチーフ演出の中島由貴さんは産経新聞の取材で、このセリフで終わることは『最初から決まっていた』と語っていましたが、ドラマは終わっても歴史は続くというメッセージが込められた演出にうならされました」(映画ライター) 「光る君へ」の第33回「式部誕生」では内裏での除目シーンが登場し、「伊勢守に平維衡(たいらのこれひら)を任じるなどもってのほか」という議論が交わされていたが、名前だけ登場した「平維衡」は後に平氏政権を樹立する平清盛の直系先祖。そして、第46回の「刀伊の入寇」では武者が活躍し、敵を撃退するなど、物語の終盤には「武士の時代」を予感させるシーンが目立った。 「伊藤が演じた双寿丸は最初、南沙良(22)演じるまひろの娘・賢子の初恋相手として登場。これだけだと役割が弱いと思っていましたが、終盤に向けて登場シーンが増え、時代が武家の世に移る象徴としての重要ポジションだったのはオリジナルキャラの使い方としては巧みでしたね。道長とまひろの恋物語として終わらせず、大河ドラマの大きな河の一筋として終わらせたのも良かった。ネットでは、次の時代を描いた2012年の大河ドラマ『平清盛』にスポットライトが当たっているようですが、それほど『光る君へ』の満足度が高かった証左でしょう」(前出・芸能記者) 賛否はあったにせよ、見る側に想像の余地を残す終わり方は、“文学大河”にふさわしかったのではないだろうか。 (泉康一)
泉康一