資産8億円超の元消防士・かんちさんのFIRE後の暮らし「毎日が日曜日だけどダラダラはしない」 昼食時には“妻への気遣い”も
「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、経済的な自立を実現させて仕事を早期にリタイアすることを指す。“憧れの暮らし”とされることも多いが、それを実現した人の毎日とは、どのようなものなのか。49歳で三重県の消防士を早期退職し、専業投資家の道を選んだかんちさん(62)は、現在の資産が8億円超という“億り人”だ。リタイア後の生活などについて、かんちさんに話を聞いた。
資産がいくらになると、「早期退職」を考えるのか
13年前に早期退職して以降、かんちさんは生活費のすべてを保有株の配当金と優待券・優待品で賄っているという。その投資ノウハウを初の著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株投資入門』(ダイヤモンド社刊)にまとめ、発売から1週間経たずに重版になるなど話題となっている。著書のタイトルの通り、保有株から入ってくる配当金は年2000万円にのぼるという。かんちさんはこう話す。 「2011年に消防士を早期退職した時の資産総額は1億8282万円でした。その前から早期退職の考えは頭の中にあり、とくに2008年のリーマンショックの前年には、資産総額が3億円を超えて配当金が年1200万円あり、消防士としての給料を大きく上回っていたため、リタイアが現実味を帯びていました。ただ、リーマンショックで資産を半分まで減らしたので、その時は“辞めていなくてよかった”と思いましたね(笑)。 早期退職をしたいという気持ちが徐々に芽生え始めたのは、資産が1億円を超えた頃からです。ただ、資産1億円くらいだと、それを取り崩していく暮らしには不安が残る。実際に勤労意欲が減じてくるのは、資産2億円を超えたあたりだったと思います。“給料がなくても配当金で暮らしていけるんじゃないか”という気持ちが大きくなっていきました」(以下、「」内はかんちさん)
配当金から年1500万円を生活費に
地方公務員である消防士は安定した給料が保障される仕事なだけに、“早期退職には勇気が必要だったのでは?”と尋ねると、「そうでもなかったですね」と、かんちさんは淡々と答えた。 「もちろん、リーマンショックのようなこともあるわけですが、ここまで増やせたのだから、同じことを続けていれば、経済危機によって減ることがあっても、ある程度想定の範囲内で済むだろうと考えていました」 かんちさんの投資手法では、高配当株を重視してポートフォリオを組む。頻繁に売買を繰り返すのではなく、買った株は“ほったらかし”が基本。激しい値動きになる成長株への投資は限られるため、リスクが抑えられるという考え方だ。 「仕事を辞めた後も、概ね考えていた形で資産は増えていきました。早期退職から3年後の2014年には、リーマンショック直前の資産総額を超えることができました。そのあたりは、アベノミクスによる株価上昇に助けられたところもありました」 早期退職からの13年で資産は約3倍に増え、今年4月時点で資産総額は8億467万円となった。配当金から年1500万円を生活費に回しているという。 「早期退職の直後は、消防士時代の手取り年収額と同じ年800万円を配当金から生活費に回していましたが、それを少しずつ増やしています。ただ、資産が増えたからといって調子に乗ってお金を使わないことをルールにしています。今でも、優待品や優待券を生活に利用して、贅沢しすぎないと決めています。だからこそ、暮らしに大きな不安はないですね」