2度の音楽活動を休止した奥田美和子の今
00年放送のアニメ「GTO」のエンディングテーマ「しずく」や03年放送のドラマ「ヤンキー母校に帰る」の主題歌「青空の果て」などで知られる歌手の奥田美和子(32)が、今年2月に新曲「無限」をリリースした。17歳でデビューし、歌姫として脚光を浴びるも、一時期は音楽活動を休止した奥田が今、歌う意味とは――。 奥田は高校時代、地元の音楽仲間と結成したバンドのボーカルをしているところ音楽関係者に見出されて、高校を中退し上京した。「幼い頃は松田聖子さんの曲とか歌謡曲をよく歌っていて。ずっと歌手になることを心に決めていました。(バンドには)歌える場所があるならと思って参加したのですが、人前でしゃべるのが苦手で、曲と曲の間のMCは私担当ではなかったですね(笑)」 ■「『青空の果て』は30万枚近いスマッシュヒット」 元来、人付き合いが苦手で、他人と積極的にコミュニケーションをとり、自分を積極的に売り込むタイプではなかったが、その透明感あふれる歌声は多くの同業者の目に留まり、17歳の時、歌手・大江千里のプロデュースのもと「しずく」でメジャーデビューを果たす。その後、「自分の歌う意味が見出せなくなった」ことを理由に1度は音楽活動を休止するも、芥川賞作家の柳美里氏の著書に感銘を受けて、柳氏とのタッグで再び歌手としての道を歩き始める。 03年11月にリリースした3枚目のシングル「青空の果て」が30万枚近いスマッシュヒット。ファーストアルバム「二人」を発売するなど、柳氏が紡ぎ出す歌詞の世界観と奥田の繊細かつ透明感のある歌声は業界の内外を問わず多くの注目を集めることになった。だが、そんな周囲の評価をよそに、奥田は2度目の音楽活動を休止。11年に歌手活動の集大成となる初のベストアルバム「GOLDEN☆BEST 奥田美和子」がリリースされたことをキッカケに、再び歌手としてステージに立つ道を選んだ。 ■「やはり自分には歌うことが一番」 「17才でデビューして、当たり前だけど当時は子供だったなと。一人よがりだったり、自己満足だったのかもしれません。あの頃との一番の違いは、“歌を生で伝えたい”という気持ちの強さですね。当時の自分を支えてくれた方には本当に感謝しています。でも、あの頃は『人前で歌いたい』とはあまり思っていなかったんです。今は他人の優しさに気づけたから自分も優しくなりたいと思えるようになったし、自分を応援してくれる方には歌手として精いっぱい応えていきたい。気づくのがスゴく遅いんですけど、素直にそう思えた時、やはり自分には歌うことが一番なんじゃないかなって…」