理大薬学部教員が能登で活動 調剤や衛生管理に尽力【山陽小野田】
能登半島地震では薬局も被災し、医薬品の供給が課題となった。山口東京理科大薬学部で講師を務める山本晃之さん(47)と准教授の相良英憲さん(46)は、薬剤師として貢献できればと、石川県薬剤師会と日本薬剤師会からの派遣要請を受けた山口県薬剤師会の支援班の一員として、それぞれ石川県珠洲市と輪島市で、災害処方箋の調剤や避難所の環境衛生管理などに力を尽くした。 山本さんは、1月17~21日に珠洲市健康増進センター内に設置された臨時調剤所と災害時対応医薬品供給車両に詰め、災害派遣医療チーム(DMAT)や日本医師会災害医療チーム(JMAT)が発行した災害処方箋を基に、新型コロナやインフルエンザの感染者に処方するせき止めや解熱剤、血圧やコレステロールを下げる常備薬などを調剤。限られた備蓄医薬品の中で代替え薬を使用する判断も一任された。 避難所の開設にも携わり、汚染区域と非汚染区域の区分や避難者の動線を考慮したプライバシーの確保、支援物資の保管場所などのレイアウトを指示。「教室の換気や給食の衛生管理、水道水の塩素濃度の計測などを行う学校薬剤師としての専門的知識が生かされた」と振り返った。
相良さんが輪島市に入ったのは3月1~5日。被災地の医療機関が機能を取り戻し始め、従来の医療体制に移行する段階に入っていた。災害処方箋の調剤や環境衛生管理の業務と平行して、避難所や薬局を巡回して引き継ぎのための情報共有に努めた。 自身は兵庫県神戸市の高校在学時に、阪神・淡路大震災を経験。いつまでも被災地として扱うのではなく、前向きに進む後押しをすべきとの考えを持っている。さらに、災害医療現場では指示系統を守りつつ、臨機応変に活動することの重要性を再認識。同学部で今年度に新設した「災害薬学」の授業で、自身の経験を伝えながら災害薬事に精通した人材を育成することを改めて誓った。 山陽小野田市内でできる支援について、2人は「震災を忘れないことも大切だが、被災者自らが動いて日常に戻れる支援を継続的にしていく必要がある。自治体に直接寄付されるふるさと納税も有効だ」と語った。