松本まりか39歳、無意識に抑圧していた“性”のホンネ「本能を解放することで、生きている実感を得ることもある」
現状維持はイコール穏やかな衰退
――環境を整える。 松本:たとえば英語の勉強をしたいんだけど、続かない。だったらもう留学する!知識ゼロでも行ってしまう!とか。とにかく動いてみる。歳を重ねると、いろんなことに慣れてきているし、今の環境でやっていけちゃうなと、そのままになっちゃう人も多いと思います。それを打破する。 ――なるほど。 松本:現状維持はイコール穏やかな衰退です。だから“ちょっと”頑張る。年齢とともに、いろんなことを諦めていきがちだけれど、ちょっとだけ背伸びをし続けることが、諦めずに生きられる唯一の方法だと思います。背筋を伸ばして、今日より少しだけかっこいい自分でいる。そのためにも環境づくりが大切だと思っています。
40歳に向けて、新しい環境に
――小さなことからですね。 松本:スケジュールに予定を書くとか。筋トレするのは大変ですよ。英語の勉強をするのも大変です。でもまず予定に書くことはできるでしょう。それで次はキャンセルできないスケジュールを入れてしまう。そうやって環境から固めていく。 勉強というと、その先のゴールを考えてしまいそうですけど、結果を求めてしまうと、過程もツラくなってしまうから、過程そのものを楽しむ。それだけできらめいている人間になれると思うんです!その積み重ね。だから何に対しても諦めなくて大丈夫。ただ、私は現状に安心して成長の機会をつぶしてしまうことはしたくない。そのためには退路を断つことも大事だと思っていて。今年、私が環境を大きく変えたのもそのためです。 ――40歳を前に環境を変化させるのはかなり勇気のいることかと。 松本:居心地の良さは時に自分を甘えさせてしまいます。変化すべきことから目を背けたくもなる。でも、未知の世界には、飛び出さなければ見えないものがたくさんあるはずです。私も40歳に向けて新しい環境に行くことで、新陳代謝が促されて、自分の細胞が活性化されて、心がワクワクしています。
性の解放で生きている実感を得ることも
――そして現在、福士蒼汰さんとW主演を務めた映画『湖の女たち』が公開中です。 松本:仕事を始めた15歳の頃、こうした作品に出られるような女優になりたいと思っていました。25年経って、気づいたらあの頃思い描いていたような作品に、しかも映画に出られることができているんだと感慨深いです。 ――芥川賞作家・吉田修一さん原作の、人間の業や性の部分も見つめた難しい作品です。飛び込んでみて、新たな発見はありましたか? 松本:性の部分に関しては、私自身、無意識に解放させてはいけないものだと思っていました。ある意味、自分で抑圧してしまうような、そうした部分を、逆に解放してあげることによって、生きている実感を得ることがあるというのは、作品を通して学んだことです。 私自身は、そうした部分に閉鎖的な考えを持っていたけれど、もしかしたら嫌うのではなく、自分の本能みたいなものを認めてあげることによって、世界が変わることもあるのかなと。 ――俳優としては、このチャレンジでどんな実感を得ましたか? 松本:やはり自分が居たい場所、行きたかった場所だったという確信を持ちました。人間の本質を見つめるようなこういった映画やスタッフさんたちとの仕事が、生涯にわたって、突き詰めていきたい場所だと感じています。 <取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/福岡玲衣(TRON) スタイリスト/後藤仁子> 【望月ふみ】 ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異 Twitter:@mochi_fumi
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