日銀国債購入の「相応」な削減、市場は影響を過大評価か
(ブルームバーグ): 国債市場は、日本銀行の総裁が「相応」な額と呼ぶ国債買い入れの減額がもたらす影響を過大評価しているかもしれない。
日銀は次回7月の金融政策決定会合で、具体的な買い入れ減額の計画を決める予定だ。日銀の試算によると、日銀の国債保有割合が1%ポイント下がるごとに、10年債の利回りは2ベーシスポイント(bp)上昇する。
一部ストラテジストが予想しているように、日銀が毎月の国債購入額を現在の6兆円程度から2年後に2兆円へと徐々に減らしていくと仮定した場合、日銀の試算に基づくと利回りは14ベーシスポイント上昇することになる。
これは、日銀の債券市場サーベイで市場参加者が示した見通しよりもはるかに緩やかな上昇だ。市場参加者は、10年債利回りは2026年3月末までに1.23%に到達し、現在の水準から約30bp上昇すると見込んでいる。
日銀は20年にわたる量的緩和の間に積み上がった国債の保有残高を削減しようとしている。しかし、日銀が政策金利をさらに引き上げる可能性が高い上、インフレも進行しているため、日銀は残高削減を急いで市場が混乱するのを避けたいだろう。
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「日銀は市場が思っている以上にハト派的で、かなり慎重に減らすだろう」と語る。
同氏は、今後2年間で国債買い入れは月2兆円程度まで減額されると読む。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは月3兆円に半減するとみている。ブルームバーグの分析によると、2兆円に減額となった場合、国債市場での日銀のシェアは先月の53%から2026年6月までに46%に低下、3兆円に減額の場合は48%になる見通しだ。
野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは、例えば日銀が国債買い入れを13年の量的・質的金融緩和開始前の水準に戻すなら、月間買い入れ額を3兆円程度に半減させることになり「まさに『相応の規模』の減額と言える」と指摘。即座に半減することは想定しにくいため「減額計画を受けて長期金利が大きく反応する可能性はあるが、そのような反応は一時的なオーバーシュートとなる可能性が高い」とみる。