<勝利へ・2021センバツ鳥取城北>戦力分析/下 実は穴ない「総合力」型 /鳥取
今春のセンバツ大会に出場する鳥取城北。出場32校の頂点にたどり着くためには、何といっても総合力の高さが求められる。戦力分析の最終回では、中国地区から選ばれた他の2校と、近隣地区の強豪校の中から優勝候補に挙げられている2校を比較対象にピックアップ。各校の昨秋の各種データを比べることで、相対的な視点から鳥取城北の総合力を探った。【野原寛史】 比較対象は、昨秋の中国大会優勝校の広島新庄▽同準優勝の、山口・下関国際▽昨夏のセンバツ交流試合で鳥取城北と接戦を演じた高知・明徳義塾▽優勝候補筆頭の呼び声が高い大阪桐蔭――の4校。 ■投手力 鳥取城北のチーム防御率は3・41。それほど悪くない数字だが、他の4校を下回った。広島新庄は左右二枚看板の花田侑樹、秋山恭平両投手、大阪桐蔭は「150キロ超コンビ」の関戸康介、松浦慶斗両投手、明徳義塾は変化球で三振の山を築く代木大和投手と、いずれもプロ注目の2年生投手を擁しているだけに、分が悪いのも致し方ないところだ。 鳥取城北は県大会決勝で大量11失点したが、中国大会では3試合とも4失点と立て直した。投手陣の軸となるのは、制球力で勝負する右の広田周佑(しゅうすけ)投手と左の奥田智哉投手(ともに2年)。甲子園では落ち着いて持ち味を発揮し、失点を最少にとどめたい。 ■守備力 鳥取城北の失策は3。5校の中では総数でも1試合当たりの数でも最少だ。失策数だけが守備力を測る指標ではないが、守備範囲内の打球は堅実に処理できていると言える。選考委員会でも守備力が評価されており、甲子園でも堅守で投手陣を支えたい。 ■打撃力 OPS(長打率と出塁率を足した値)を見ると、鳥取城北は明徳義塾にわずかに及ばす5校中の4位。ただ、プロのトップチームでも0・8前後であることを考えると、十分に胸を張れる数字だ。 中国地区の3校で見ると、広島新庄を下回ったものの、下関国際を大きく上回った。注目したいのは本塁打数。畑中未来翔(みくと)主将(2年)の2本など計6本を放っており、中軸が一発で試合の流れを変える力がある。 ■機動力 盗塁は5校中4位の10個。1試合平均では1・4個と物足りない。明徳義塾は1と極端に少ないが、代わりに犠打飛が多く、盗塁よりは確実にバントで送っていたことが分かる。対して鳥取城北は犠打飛も少ない。足の速い選手がそろうだけに、甲子園では積極的な走塁に期待したい。 ■総合力 5校の投手力、守備力、打撃力、機動力の4項目を毎日新聞社が独自の基準で5段階評価した。 大阪桐蔭、広島新庄は4項目とも高い水準にある「バランス型」、明徳義塾は投手力と守備力が高い「守り型」、下関国際は機動力が高い「小技型」のチームだと分かる。一方、鳥取城北はグラフの大きさこそやや小ぶりだが、比較的バランスが取れている。「強打」のイメージが強いが、実はバランスが取れており、大きな穴のないチームだと分かる。 これらは、あくまで昨秋のデータを基にした分析にすぎない。鳥取城北ナインは冬を越して大きく成長しているはずだ。大舞台で実力を発揮できれば、山陰で初めて紫紺の大旗を手にすることも、けっして夢物語ではない。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇中国地区と近隣地区2校のセンバツ出場チーム成績◇ 試合数 打数 安打 本塁打 打点 三振 四死球 犠打飛 盗塁 失策 打率 長打率 出塁率 OPS 防御率 鳥取城北 7 245 80 6 48 26 35 16 10 3 .327 .457 .411 .868 3.41 広島新庄 10 293 101 2 67 21 45 25 17 7 .345 .491 .432 .923 1.37 下関国際 10 352 107 1 55 51 53 20 28 12 .304 .386 .395 .781 2.05 大阪桐蔭 11 339 127 11 100 27 53 24 35 6 .375 .614 .459 1.073 2.39 明徳義塾 8 239 78 0 48 30 49 33 1 4 .326 .435 .441 .876 0.54 ◆計算式◆ 【防御率】(自責点×9)÷総投球回数【長打率】塁打数(単打数×1+二塁打数×2+三塁打数×3+本塁打数×4)÷打数【出塁率】(安打数+四死球数)÷(打数+四死球数+犠飛数)【OPS】長打率+出塁率 <注>各チームの防御率は「チーム自責点」の代わりに「個人自責点の合計」で計算した。また、「出塁率」は犠飛を考慮せずに計算した。このため、両項目及び「OPS」は本来の値より若干高くなっている可能性がある。