命運握る国民投票 ギリシャ危機の行く末はどうなる?
欧州連合(EU)は6月27日に開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャ側が求めた6月末の金融支援の期限延期の要求を退けました。これを受けてギリシャのチプラス首相は、厳しい緊縮改革案を受け入れるかどうかを問う国民投票を7月5日に実施すると表明しました。この国民投票では年金カットなど厳しい緊縮改革案を受け入れる場合には「YES」とし、受け入れたくない場合には「NO」とする二択の投票となります。もし「YES」となれば支援延長の可能性が高まり、「NO」となればユーロ離脱の懸念が強まります。 ギリシャはIMFへの今月の返済分を月末一括とすることを要請しており、金融支援を受けなければ15億ユーロ超のIMFへの支払いはできません。ただし、IMFは今回の事態をデフォルトという言葉を使わずに「延滞」と表現しています。これは国民投票の結果を確認したいためと思われます。 ECBは6月28日にギリシャ国内の銀行の資金繰りを支えてきた「緊急流動性支援(ELA)」の上限拡大を見送りました。ELAとはユーロ圏各国の中央銀行を経由してECBが資金供給する仕組みで、資金流出が続いているギリシャの金融機関の資金繰りは、この制度に支えられてきたのです。約900億ユーロの枠内であれば資金供給をするが、それを超える分については供給しないことになります。つまり、あらたな資金供給は停止との見方となります。 ECBがギリシャの銀行への追加的な資金繰り支援の見送りを決めたことにより、チプラス首相は6月28日に、29日から銀行を休業させ、資本規制を導入すると発表しました。これはギリシャ中銀が銀行を休業させ、預金の引き出しを制限するよう要請してきたことによるものです。この国内銀行の営業停止は7月6日まで、つまり国民投票の結果がわかるまでということになります。 ECBは今後ギリシャが強力な資本規制を導入したり、欧州連合(EU)側の財政改革案に同意したりすれば「(据え置きの)決定を見直す用意がある」と表明しています。これは5日の国民投票の結果次第ということになります。ECBが支援そのものを絶つことになれば、銀行が政府の借金に応じることもできなくなり、ギリシャ政府の資金繰りが早晩行き詰まることになります。ギリシャは7月20日にECBに対して約35億ユーロの返済も抱えています。