フランスが3か月延長した「非常事態宣言」って何?
市民にとっては、命令のあった場所・時間における人や車の交通が禁止されたり、安全地帯が設定されたりすることで、移動の自由が制限される。コンサートホールなどの興業場、酒類の小売店、集会場の閉鎖命令や一定の集会の禁止が命じられるなど、行動の自由も制限される。 「緊急状態法」では、新聞、出版、放送、映画の上映、演劇の上映の規制も認められている。しかし表現の自由を制限するこの規定は1955年から一度も適用されておらず、今回も規制が見送られている。
他国での「非常事態宣言」
大きな自然災害や紛争などの非常時に、国が平時とは違う権限を行使することは「国家緊急権」と呼ばれ、各国の憲法や法律で定められていることが多い。アフリカのマリでは20日に起きたホテル襲撃を受け、10日間の非常事態宣言が発令されている。 アメリカでは州知事が地域レベルでの非常事態を宣言する権限を持ち、ハリケーンや大雪など自然災害の場合にも宣言されている。日本では憲法や法律の明文規定はない。2011年の東京電力福島第一原発事故では、原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言が発出されたが、災害や紛争などあらゆる非常時に対応できる「非常事態宣言」の包括的な明文規定はない。非常時の国の緊急権の濫用を防ぐためにも、発動要件や期間、取りうる具体的措置などについて明文化する必要があるのではないかとの指摘も上がっている。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)