第1弾購入率45%止まり 福島市デジタルクーポン 高齢者不満「使えない」
物価高対策として福島市が全市民向けに発行したデジタルクーポン「福デジくん」第1弾は、1月末時点の購入率が約45%(速報値)にとどまる中、15日で利用期間が終了した。主眼の生活支援と合わせてデジタル化を進めようと購入・利用をスマートフォンに限ったが、恩恵を得たのは全体の5割以下という結果に、スマホを持たない高齢者らから不満が相次ぐ。市民の指摘を受け、3月に利用が始まる第2弾は紙クーポンとの併用に方針を転換した。 15日午前、通話アプリ「LINE(ライン)」の市公式アカウントにクーポンの利用終了を知らせるメッセージが流れた。コープふくしま方木田店など市内の加盟店のレジやサービスカウンターでは支払い用QRコードを使い、買い物をする市民の姿があった。 第1弾は約27万人を対象に昨年11月に発行が始まった。市は「デジタル化を進めるきっかけに」との意図から購入・利用をスマホに限った。ただ、スマホを持たなかったり、電子決済に慣れない高齢者から開始直後から不満が殺到。専用コールセンターの回線が一時パンクする事態に陥った。
市内の無職斎藤孝一さん(74)は所有するスマホでクーポンを利用した。操作の苦手な同世代の知人の分も買おうと考えたが、購入したスマホでしかクーポンを使えないため諦めた。「スマホを持たない、使えない人には購入するなと言っているようだ」と市の方針を疑問視する。 レジでQRコードを利用しようとしても、カメラが起動しないなどの不具合で手続きが円滑に進まず、やむなくクーポン以外の決済方法に変える人も出た。 過去に数回発行した紙のクーポンでは80%を超えていた購入率の大幅下落を受け、市は第2弾クーポンでは世帯ごとに紙かデジタルを選べるよう改めた。デジタル化推進という点では「後退」だが、商工業振興課は「課題や意見を基に、少しでも使いやすい仕組みにする」と理解を求める。 ただ、第2弾には紙に比べてデジタルが金額的に得をする仕組みもあり、市民からは新たな不公平感につながるとの声もある。市内の無職女性(83)は従来型携帯電話(ガラケー)しか持たず、第1弾のクーポンを購入できなかった。「物価高対策というのであれば、公平に行き届かなければ意味がない」と突き放した。