米国、ウクライナ支援債500億ドルの発行提案-ロシア凍結資産を利用
(ブルームバーグ): 米国は主要7カ国(G7)に対し、少なくとも500億ドル(約7兆6000億円)の債券を発行する特別目的事業体(SPV)設立を提案した。債券は凍結したロシアのソブリン資産による利益を裏付けとし、ウクライナ支援の資金として利用する。この計画に詳しい複数の関係者が明らかにした。
匿名を条件に語った関係者によると、G7や欧州連合(EU)が凍結した2800億ドル相当のロシア中銀資産をSPVに集め、その利益をいわゆる「自由債」の裏付けとすることが米国の提案内容だという。
ロシア凍結資産の3分の2余りはEU内にあり、年間で約36億ドルの純利益を生んでいる。この自由債発行で、米議会で依然滞っている600億ドルの支援にほぼ匹敵する規模の資金を調達することを目指す。
ウクライナ軍が弾薬不足に直面しロシアが東部で進軍する戦争の重大な局面で、西側のウクライナ支援は思うように進んでいない。EU加盟国首脳は21日にブリュッセルに集まり、ロシア凍結資産による利益をウクライナ支援に向けてどのように活用するか議論する。
米国家安全保障会議(NSC)はコメントを控えた。
協議は初期段階で、現在進行中だと関係者の1人は説明した。この新たな構想に対し、ドイツやフランスなどG7の一部の国は慎重な姿勢を示したと、別の関係者が語った。
関係者の1人によれば、この取り組みが実現すれば500億ドル以上を調達できる可能性もある。エストニアを含む一部のEU諸国はもっと思い切った行動に出るよう同盟国に呼び掛け、直接的な資産押収を訴えている。
原題:US Backs $50 Billion Bond for Ukraine Using Frozen Russia Assets(抜粋)
--取材協力:Viktoria Dendrinou.
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Alberto Nardelli, Jennifer Jacobs