シリア戦の放映権料は推定2億円?歴代最強・森保ジャパンが「テレビ生中継なし」史上初の屈辱の舞台裏
サッカーの放映権料はどんどん巨額になっており、少しでも金銭面で潤わせたい各協会は、その「価格交渉」の力量を問われている。日本に限らず、どの協会もその交渉は契約している代理店が実質行っており、日本は電通、内戦下にあるシリアはサッカー協会が実質、機能していないため、対外的な交渉はアラブ首長国連邦(UAE)の「PRO」という代理店に依頼している。 シリア戦の前日の11月20日の公式会見で、このPRO社の最高経営責任(CEO)と名乗る人物(ユセフ氏)が突然、会見場に現れて、今回の放映権料問題についてこんな趣旨の発言をした。 「’18年ロシア大会のアジア予選(シリア対日本)よりも30~40%ほど価格を下げた」 つまり、交渉が破談になった責任はJFA側にある、と主張した。実際に、放映権交渉をしていたのは今回も電通だ。 「’23年3月に行われた今回のスポンサーの契約更改でJFAは電通と2030年までの8年間、パートナーシップ契約を結びました。第2次森保ジャパンの国内戦も電通主導で行っています。 これまでは大きな国際大会も電通の主導で放映権料の交渉がまとまってきましたが、今は違います。昨年のW杯カタール大会でも当初はテレビ局だけで契約しようとしていた放映権交渉が結局、値段が下がらずまとまらなかった。最後のチャンスとして電通がインターネットテレビサービスのABEMAさんに打診して、なんとかW杯の本大会を生中継することができた」(JFA担当記者) JFAの飛躍的発展には電通の支えがあったことはまぎれもない事実。だがその一方で、電通が東京五輪の金銭スキャンダルに関わっていたことが報道されてからはその影響力は以前ほどではなくなった。昨年のW杯に続き、JFAの放映権料交渉についてはパワーを発揮できていない状況が続いているのだ。 W杯アジア予選はAFCが主催する。田嶋会長はAFC理事でもあり、またAFCを代表して、国際サッカー連盟(FIFA)理事も兼務している。 その田嶋会長は他の大陸にならう形で「最終予選の放映権料などは自国の協会が自由にできる権利を与えてほしい」と何度も AFCの会合で主張してきたが、「日本だけが儲けようとしている。それは違う」と返答され、田嶋会長の主張は突っぱねられ、並行線の状態が続いている。 今後もJFAが代理店のアシストで発展してきた手法をアジア各国が〝完全コピー〟して、敵国での試合では、高額な放映権料を要求されることが予想される。したがって、アウェーでW杯出場が決まる試合を放送できない、という可能性も十分ある。頼り切ってきた電通に以前ほどの神通力がない今、JFAは大きな転機を迎えている。
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