父・國春さんが写った沢田の写真を前にする和春さん。一緒に飾られた絵は、國春さんが好んで描いた奥入瀬渓流の油絵

　青森市出身の世界的カメラマン沢田教一（1936～70年）の写真に亡き父の姿が－。弘前市でアートに触れる取り組みをしている盛和春さん（69）が、沢田の写真に父・國春さん（1925～2000年）が写り込んでいたのを東奥日報連載で発見した。和春さんは「偶然だろうが、ピュリツァー賞カメラマンの写真におやじが写っているのは誇らしい」と喜んだ。 　写真は9月22日付の東奥日報連載「Sawada1964　沢田教一が愛した奥入瀬渓流」に掲載。60年前の1964年に撮影されたとみられる。 　沢田の写真の中では國春さんは後ろ姿だが、「腰につけた手拭い、ぞんざいな帽子のかぶり方、乱雑なパレットからおやじと分かった」とし、「紙面を開いた瞬間、びっくりした」と笑顔だった。 　國春さんは旧森田村（現つがる市）出身。青森師範学校卒業後、県内の中学校で美術教師として勤める傍ら油絵を描き、奥入瀬渓流をはじめ岩木山や西海岸の四季を好んで描いていた。1956年から99年までの間に、計35回日展に入選していた。和春さんは「絵を描くのにちょうど良い天気の日は父が学校をずる休みし、私が代わりに学校に電話していた。本当は絵に専念する人生を送りたかったのだろう」と語った。 　14日まで、同市百石町の弘前オランドで和春さんが主催するイベント「貸絵屋おらん堂」で、東奥日報記事と写真＝東奥日報特別編集委員・斉藤光政提供＝を紹介している。入場は無料。