台湾現地ルポ・立法院占拠24時 第4回 「ひまわり運動」の背後にあるもの
台湾の国立政治大学・選挙研究センターが実施した調査によると、1992年の段階では台湾に住む人のうち、自分が「台湾人」であると答えたのは17.6%にすぎなかった。だが、2013年6月には、その割合は57.5%までに上昇した。また、最近の別の調査によると、80%の人が台湾と中国と異なる国家だと認識していたという(John J. Mearsheimer『Say goodbye to Taiwan 』による)。 だが、中国政府の考えは大きく異なっている。中国の対外向け報道機関「中国国際放送」のウェブサイト(日本語版)によると、中国国務院台湾事務弁公室の範麗青報道官は4月30日の会見で、「台湾海峡両岸の同胞はいかなる形の『台湾独立』の主張にも十分警戒すべき」と表明した。その上で、「大陸と台湾はひとつの中国に属しており、両岸関係が国と国の関係ではないことは誰でも知っている」と述べたという。 多くの人が台湾国旗を掲げていた台北駅前の集会にも、国民国家としての台湾という意識は強く感じられた。だが、台湾の置かれている状況を考えたとき、立法院退去を求める姿勢は妥協的ともいえた。悠長なことをいっていると大陸に呑み込まれる ──「ひまわり運動」は、そんな危機感が渦巻く、いまの台湾世論に響いたのかもしれない。 (文・写真 / 河野嘉誠)