イオン鴨川店が地元企業・行政と連携し津波想定の避難訓練(千葉県)
東日本大震災から13年がたつのを前に、鴨川市のイオン鴨川店は5日、地震と津波を想定した避難訓練を同店で行った。従業員の他、地元企業や行政の職員ら75人が、買い物客や観光客を安全な場所へ誘導する手順などを確認し、万が一に備えた。 海岸から約600メートル地点に位置し、6階建てであることから、市の「津波避難ビル」に指定されている同店。JR安房鴨川駅に隣接した地域住民や観光客が集まるエリアで、地域の安全確保に向け、同駅や鴨川シーワールド、市、消防、警察などと連携した合同訓練を初めて企画した。 訓練は、震度7の地震が発生し、大津波警報が発令されたという想定で実施。店内放送で地震発生が伝えられると、従業員が「頭を守って、身を低くして、じっとして」と大声で繰り返し呼び掛け、買い物客役らが、買い物かごをかぶって頭部を保護し身をかがめた。 その後、警報が発令されたとして、従業員が声を掛け合い、店舗屋上へ階段で避難するよう誘導。一方、店外では、JR社員が同駅にいた車いすの障害者を、デマンド型乗り合い送迎サービス「チョイソコかもがわ」の車両に乗せ、屋上へ誘導した。 同市危機管理課の髙松淳一係長は「各階で従業員が一つのチームとして機能し、スムーズに避難誘導が行えていた」と講評。千葉県東方沖を震源とする地震が多発していることを挙げ、「駅周辺に住む方々の命を津波から救う最後のとりでとして、継続した訓練を行っていただきたい」と呼び掛けた。 訓練を企画した須藤理恵店長は、東日本大震災当時、宮城県のイオン気仙沼店に勤務しており、店舗1階が津波で被災。今年の元日には能登半島地震が発生し、鴨川店も海に近いことから地域を巻き込んだ訓練の必要性を感じたという。「頭では分かっていても、パニックになることがある。訓練を繰り返し、継続して行って、買い物客や住民、観光客の安全を確保していきたい」と話していた。