「信州の熱海」のスナック文化 世界の持続可能な観光地100選に
国際的な認証団体が毎年発表している「世界の持続可能な観光地」のトップ100選に、長野県千曲市が選ばれた。市内の戸倉上山田温泉街のネオン街を「スナック文化」と位置づけ、次世代に継承するプロジェクトが評価された。 【写真】世界の持続可能な観光地トップ100選に選定されて記者会見し、「NEOネオン」プロジェクトをPRする関係者=2024年10月16日午後2時1分、長野県庁、高木文子撮影 戸倉上山田温泉は約130年の歴史があり、昭和40年代の高度成長期には年間130万人前後が訪れて「信州の熱海」と呼ばれた。温泉街には今も約80軒のスナックが連なる。景気低迷やレジャーの多様化で観光客が減り、若い客層の取り込みなどが課題だった。 一般社団法人「信州千曲観光局」は2年前、「NEOネオン」プロジェクトを立ち上げた。スナックの楽しみ方や各店の料金体系、スタッフ数、ノンアルコールドリンクの有無などを紹介し、若者向けのイベントも開く。小沼浩栄専務理事は「スナックは『まちの社交場』として機能している半面、新規の皆様が入りづらいという部分をどう解消しようかと考え、プロジェクトを立ち上げた」と振り返る。開始後はほかの地域から新たな客が訪れるようになったという。 「トップ100選」は国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」(本部・オランダ)が毎年募り、観光地の管理の方針や自然と景観、文化と伝統などについての基準をもとに、100地域を選ぶ。 信州千曲観光局は今年初めて申請し、10月中旬に選出の連絡を受けた。小川修一市長は選出後の記者会見で、千曲市が月見の名所として知られていることを踏まえ、「月明かりのイメージが強いが、ネオン街も素晴らしい明かりを照らしている。(認証を受けて)世界に発信できる」と胸を張った。(高木文子)
朝日新聞社