【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第20回 変化なくして成長なし!! 激動のユース時代
■プロか、大学サッカーか。進路に悩む日々 高3に上がりたての時期。ユースの練習後にコーチがひと言「今年のキャプテンは滉」と発表した。身が引き締まる思いだった。まだまだ未熟者だった僕にとって、初めて責任感が生まれた瞬間だった。そこからはランニングでは前を走り、コミュニケーションも絶えず心がけ、プレーで真摯な態度を示すようになった。 ただ、プロになれるチャンスというのは、僕の中では五分五分だった。仮にトップに上がれても、試合に出られる保証はない。ユースの同期は10人。大学サッカーが現実的という考えが大半を占めた。実は僕も大学の試合を見に行ってたし、練習にも参加した。ある大学は興味があると言ってくれて、別の大学からは練習参加後すぐに入学の確約をもらっていた。 それでも、プロ入りは諦められなかった。だから、ひたすら練習と試合に打ち込んだ。夏の終わり、僕と両親は強化部から面談に呼ばれ「滉は、トップに上がってもらいます」と伝えられた。心底うれしかった。帰り道で見た両親の喜ぶ顔は今でも忘れられない。結局、同期でトップに上がれたのは僕と三好康児だけだった。 確かにトップチームのキャンプはきつかった。でも、より厳しい状況に身を置いたことで着実に成長できた。ぬるま湯ではなく、滝に打たれてなんぼ。高校時代の試練が今の僕をつくってくれた。やはり現状維持に先はない。 構成・文/高橋史門 撮影/山上徳幸 写真/AFLO