世界最大級の原発抱える街、再稼働問題の渦中でも市長選挙は無投票? 出馬表明は「条件付き容認」の現職だけ、反対派は候補擁立難航
任期満了に伴う新潟県の柏崎市長選は、11月10日の告示(17日投開票)まで3日であと1週間となった。出馬表明しているのは3期目を目指す現職の桜井雅浩氏(62)のみ。同市長選では記録が残る1947年以降、初の無投票となる公算が大きくなっている。全国的に注目を集める東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題など課題が多い中、市民からは「選挙で議論があるべきだ」との声が聞かれる。 柏崎市の位置はこちら 条件付きで柏崎刈羽原発の再稼働を認める桜井氏に対し、再稼働に反対する市議や市民団体は市長選をにらんでグループを結成。今春から「統一候補」の擁立を目指し、再稼働に慎重な人物に要請してきた。だが不調に終わり、グループは9月末に解散した。 その後は、共産党や市民団体の関係者らが候補者探しを継続。10月上旬に開かれた立候補予定者説明会に参加した後、「対抗馬擁立を模索している」と表明した。 しかし関係者によると、共産柏崎市委員会のメンバーらは、10月30日に会合を開いて対応を協議し、組織として擁立を断念する方針を決定。共産関係者は「複数の人物に声をかけるなど努力したが、実らなかった」と明かした。 市民団体の一部は擁立を諦めていないもようだが、政党が関わる形で候補者を擁立する道は事実上閉ざされたとみられる。 桜井氏は、10月中旬に行った事務所開きで「原発の問題でさえも争点にならずに選挙がないという事態は、柏崎、新潟県、日本にとって大きなマイナスだ」と指摘。「必ず選挙はある、なければならないと思っている」と、挑戦を望んで受ける姿勢を強調した。 原発推進派の企業経営者も「原発に限らず市政課題が山ほどあるのに、選挙にもならないなんて情けない」とこぼした。