EU懐疑派の極右・右派が定数の2割以上の議席獲得 欧州議会選が開票
【パリ=板東和正】欧州連合(EU)の立法機能を担う欧州議会(定数720)の選挙の開票が9日行われ、議会事務局が10日発表した暫定集計(日本時間同日午後9時時点)によると、EUの政策に懐疑的な極右や右派が2グループ(会派)を中心に伸長し、定数の2割以上に相当する計150議席以上を占めた。フランスのマクロン大統領は9日、自身の与党連合が極右政党に大敗したことを受け、国民議会(下院)を解散すると発表した。 議会事務局によると、中道右派「欧州人民党」(EPP)は改選前から9議席増やして185議席となり、最大会派の座を維持した。中道左派「欧州社会民主進歩同盟」(S&D)は改選前から2議席減の137議席となり、第3勢力の中道「欧州刷新」も79議席で102議席から減少。親EUの中道3会派では計401議席で、過半数の議席は維持したが、16議席の減少となった。 EU懐疑派では、フランスの「国民連合」を中心とした極右「アイデンティティーと民主主義」(ID)が58議席で9議席増やした。イタリアのメローニ首相率いる「イタリアの同胞」などでつくる右派「欧州保守改革」(ECR)が4議席増の73議席。両会派に加わらないドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は9議席から15議席に躍進した。 81議席が割り当てられたフランスでは、国民連合が改選前の18議席から30議席に増加する一方、欧州刷新の中心勢力であるマクロン氏の与党連合は13議席に低迷した。マクロン氏は起死回生に向けて国民議会の解散を決断。第1回投票は6月30日、決選投票は7月7日に行われる。 EU懐疑派は経済低迷や移民の急増に対する各地の有権者の不満を吸い上げて支持を広げたとみられる。今回の結果はEUの移民対策や環境対策にも影響を与える可能性がある。極右勢力には、ウクライナ侵略を続けるロシアに融和的な政党も目立っている。