常態化する日産のずさんな販売計画、投資家や取引先からの信頼にひび
過去10年の時価総額は、約6兆円だった2015年をピークに減少傾向が続く。直近は1.5兆円規模となっており、トヨタ、ホンダ、スズキ、スバルに次ぐ5番目だ。
泥縄式
SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、日産の販売計画の精度が近年「異様に低い」と断じる。計画が未達でリストラなどの対策を「泥縄式」に講じるのが「ずっと続いている感じがする」という。
日産は7日に発表した第2四半期決算で、主力の米国や中国の販売不振を理由に今期の利益計画を引き下げ、大規模なリストラ策も公表。
内田氏は決算説明会で、今期の販売計画が「ストレッチ(背伸び)した台数になっていたというのは結果として否定できない」と述べ、無理があったことを認めた。販売計画の精度を「われわれがきちっと見ていける体制」を構築する考えを示した。
落ちた信頼
有言不実行の日産を、市場もサプライヤーも冷めた目で見ており、今後もこうした状況が続けば信頼関係にさらにひびが入る可能性もある。
週刊ダイヤモンドによると、7月24日から9月17日に自動車メーカーの取引先企業に行ったアンケートで、大手自動車メーカーの「生産計画(内示)の具体性、確からしさ」を5段階評価してもらったところ、日産の得点はトヨタやホンダを下回った。
BIの吉田氏は、日産が示す計画を自身は「ちょっとどころかいつも信じていない」と語った上で、同社の部品サプライヤーも同様だと指摘。日産の示す台数を信じれば損をする可能性があるため「サプライヤーはみんな日産からくる内示台数を割り引いて」実際の対応をしている、と吉田氏は述べた。
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稲島剛史