やはりＮｅｗＪｅａｎｓはニュースメーカーだった。彼女らの去就などをめぐりＨＹＢＥのパン・シヒョク議長とミン・ヒジン前ＡＤＯＲ代表がうんざりするような争いを行っている中で、今回の国政監査期間中に２回も主人公になった。７日の文化体育観光部の国政監査ではＫ－ＰＯＰの振り付けにも著作権保護が必要だという指摘とともにＮｅｗＪｅａｎｓの事例が言及された。ＮｅｗＪｅａｎｓの振り付けの一部を系列会社の後輩ガールズグループであるＩＬＬＩＴがまねたという疑惑が根拠資料として提示された。関連質疑に文化体育観光部局長は「振り付けの著作権に対する総合ガイドラインを作る」と答えた。１５日の環境労働委ではＮｅｗＪｅａｎｓメンバーのハニが参考人として出席し、「職場内いじめ」の問題を涙で訴えた。 廊下で会ったＩＬＬＩＴのマネジャーがＩＬＬＩＴに「（ハニを）無視しなさい」と話し、会社幹部が一度もあいさつを受けず、会社が自分たちを嫌っているというのが発言の要旨だった。外国人であるハニは一部韓国語の疎通に問題を見せたが「先輩後輩にこうした体験をしてほしくない。私たちは人間だ」と堂々と発言した。普段のように叫んだり指を突きつける代わりに議員は与野党問わず「ＮｅｗＪｅａｎｓとハニの勇気を応援する」と口をそろえた。 人気トップのＫ－ＰＯＰアイドルが国政監査に出席した初めての場面で内外の関心が熱かった。普段社会的問題に対し言葉を控えるのがＫ－ＰＯＰアイドルで、米ビルボードは「異例のＫ－ＰＯＰ業界で感情的に率直な瞬間だった」と報道した。しかし大衆の反応は分かれた。ファンらの支持にもかかわらず、アイドルが現行法上の労働者に限る「職場内いじめ」の保護対象になれるのか参考人採択の適切性から、国会議員がアイドルの話題性だけ狙ったという批判まであふれた。ＮｅｗＪｅａｎｓのファン「バニーズ」の強い要請を受け入れハニを参考人に呼んだ安浩永（アン・ホヨン）環境労働委員長（民主党）は自身のユーチューブチャンネルでハニの国政監査を生中継した。画面の片側にハニの顔をクローズアップしたワイプまで加えた。民主党の朴弘培（パク・ホンベ）議員はＮｅｗＪｅａｎｓのウサギのキャラクターに民主党の象徴色である青いジャンパーを着せたステッカーをノートパソコンに大きく貼り付けた。「ファン認証ショット」のようだった。科学技術情報放送通信委員長である崔敏姫（チェ・ミンヒ）議員（民主党）はハニの写真を撮りながら東奔西走してひんしゅくを買った。いずれも国政監査の重さに合わない行動の上に、ファンだからなのか、ファンに向けた政治的求愛なのか曖昧だった。何より６月の火災事故で２３人の労働者が命を失ったアリセル代表は証人に採択されないことと対比された。 もちろんこの日の国政監査のポイントは法の死角地帯にある芸術家やフリーランサーなど特殊形態労働従事者も仕事場でいじめがあるならば保護されるべきという世論の喚起だった。しかしこれにまともに注目した人は何人いるだろうか。今回の問題は大株主間の経営権紛争が構成員間の対立につながった渦中に起きたもので、権力関係で発生する通常の職場内いじめとは差がある。パン・シヒョクとミン・ヒジンの２人のリーダーの対立がなかったならマネジャーがＮｅｗＪｅａｎｓを仲間はずれにするようなことができるだろうか（マネジャーは『無視しなさい』発言を否認している）。 デビュー２年でメンバー当たり５２億ウォンの精算を受けるスーパースターＮｅｗＪｅａｎｓさえ職場内いじめに遭うのに無力なフリーランサーはどれだけ大変だろうか。ハニが出てくれたので今後社会がさらに関心を傾けるだろう。今回の国政監査の肯定的効果というならこうしたことだ。これに対し「無視しなさい」という言葉と社長があいさつを受け入れないからと国家監査に立つのは平凡な会社員の現実とはあまりにもかけ離れた話で、「国政監査はお遊びか」という鋭い反応も多い。 先月の国会討論会では「アイドル練習生の無月経や不眠症は基本で、２８歳で健康診断を受けたら骨年齢が８０歳だった」という元ガールズグループメンバーの証言が出てきた。数カ月前には未成年者が含まれる現役男性アイドルメンバーを鈍器で暴行した事務所代表が不拘束送検される事件も起きた。本当にアイドルの人権と労働条件に関心があるならば、議員はこうした問題から腕をまくり上げなければならないのではないかと思う。 ヤン・ソンヒ／中央日報コラムニスト