何を変えようとしている?自民憲法草案(4)権利と義務 公益と責務重視
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第4回は、第3章「国民の権利及び義務」の変更した内容をみていきます。
公益・公の秩序の範囲の権利強調
現行の憲法第12条は、国民に保障する自由及び権利について、濫用してはならず、常に公共の福祉のために利用する責任を負う、と表記しています。草案は、この内容を「国民の責務」とし、濫用の禁止に加え、「責任及び義務」の自覚と、「公益及び公の秩序に反してはならない」と書いています。 また現行の13条で記されている、国民の「個人」としての尊重を、「人」としての尊重に、表現を変えています。草案では、この現行の憲法の13条と12条のほかに、「表現の自由」(現21条)、「財産権」(現29条)の中で、「公益及び公の秩序」を害したり、反したりすることのないよう書き加えています。 19条「思想及び良心の自由」については、「侵してはならない」(現行)を「保障する」(草案)としています。現行の24条に新しく「家族」について加え、家族を社会の基礎的な単位として尊重することなどを書いています。 国の新たな責務として、「国政上の行為について国民に説明する」こと、国民と協力し「良好な環境の保全に努める」ことを草案に設けています。