キェシロフスキの傑作「デカローグ」 キャスト総勢44名で10篇の連作舞台を4月より新国立劇場で上演
脚本を翻訳した久山宏一は、36年前の1988年にポーランドの劇場で「デカローグ」を鑑賞。テレビ放映の2年後に発売されたシナリオ集を翻訳していくなかで、新たな発見があったという。というのも、1980年から映画人の育成を始めていたキェシロフスキは、3人の若手監督に監督させるつもりだったが、脚本に愛着が湧き自らですべてを監督。であれば、当初書かれた脚本は自分以外の監督が撮ることを想定して書かれたもので、今回の舞台のように複数の演出家が演出するという形は、キェシロフスキの本来の意図と近かったのではないか、と推察。「原型であるシナリオと映像を比べてみる幸福な機会だった」と言う。
公演はデカローグ1~4のプログラムA・Bが4月13日から5月6日まで、デカローグ5・6のプログラムCが5月18日から6月2日まで、デカローグ7~10のプログラムD・Eが6月22日から7月15日まで、と3カ月にわたる。 すべてのエピソードを見るのは至難の業でもあるが、オリジナルの「デカローグ」を知っていればなお、すべてを見たくもなるだろう。全10篇を見た暁の、達成感以外に何を得られるか、と2人の演出家に尋ねたところ「簡単な言葉になってしまいますが、お客様のなかで長く生きる作品になると思います」と上村。 小川は「一枚一枚の絵自体が素晴らしいけれど、エピソードを1つ、2つ、3つと重ねていくと、これまで重ねたものが実はまた壮大な素晴らしい一つの絵にもなる。お客様自身が体感して、完結させる──キェシロフスキ監督もきっとそのような意図でお作りになったと思う」と語った。 なお、全作制覇は“至難の業”と書いたが、お得なセット鑑賞券も発売されているので、日程、詳細等は公式ホームページをご参照ください。 文・制作=キネマ旬報社
「デカローグ」
デカローグ1~4[プログラムA、B交互上演]=2024年4月13日[土]~5月6日[月・休] デカローグ5・6[プログラムC]=2024年5月18日[土]~6月2日[日] デカローグ7~10[プログラムD、E交互上演]=2024年6月22日[土]~7月15日[月・祝] 会場:[東京]新国立劇場 小劇場