亡くなった弟ともう一度ゲームができたら…『鉄拳8』ユーザーの兄弟の思い出守った「AIゴースト」機能
亡くなった方ともう一度ゲームがしたい……『鉄拳8』の「AIゴースト」機能がひとりの兄の悲しみを和らげたとともに、開発者らも関わったひとつのエピソードを生んだようです。目玉機能が思わぬ形で人々の人生に影響を与える可能性を示しました。 【画像全2枚】 同作の「AIゴースト」機能を利用し、亡くなった弟といつでも対戦したいと願う兄の投稿にコミュニティが反応。『鉄拳』シリーズチーフプロデューサーの原田勝弘氏と『鉄拳8』ディレクターの池田幸平氏も兄へ哀悼の意を表し、「AIゴースト」の保存方法を伝えました。 まず、『鉄拳8』の、プレイヤーの動きをAIが再現する「AIゴースト」という機能について簡単に説明します。これはQラーニングによって、ゲームが「プレイヤーに似た動き」を素早く、高い再現性で学習するというものです。他プレイヤーが作成したAIゴーストとの対戦が可能な「スーパーゴーストバトル」というゲームモードもあります。 事の起こりは日本時間2月23日金曜日、弟を亡くしたばかりのMelodic_Insect1356氏が、Redditの鉄拳8掲示板で「AIゴースト」の保存方法を質問したことに始まります。 Can AI ghosts be permantly saved? My brother just passed suddenly... byu/Melodic_Insect1356 inTekken アメリカ・テキサス州在住のMelodic_Insect1356氏には、NobleYato氏という26歳の弟がいました。NobleYato氏は「鉄拳」が大好きで、上位ランクを目指し何時間もプレイし続けるほどのファンでした。そしていつかは兄弟そろって地元テキサスの大会への出場を夢見ていたそうです。 ところが、その夢は突然失われてしまいます。 Redditへの投稿の前日となる2月22日、NobleYato氏が自室で亡くなっているところを、ほかならぬMelodic_Insect1356氏自身が発見したのです。 愛する弟の遺体を目の当たりにしてしまったMelodic_Insect1356氏は、「世界がひっくり返ってまっすぐ考えられない」と表現するほど、精神的に傷ついてしまいました。 しかし、そんな中でも思いついたのが、弟が愛した『鉄拳8』のAIゴーストとこれからも対戦していく方法を模索することでした。 この投稿は瞬く間に拡散され、ついにX(旧ツイッター)で原田氏と池田氏の目に留まり、お二人がそれぞれメッセージを送っています。 原田氏のポスト: お悔やみ申し上げます。 [弟のゴーストをダウンロードしてローカルに保存しておけば、サーバーからデータが消えても、いつでも対戦できます。(スタッフより)] また、私に何かできることがあれば言ってください。 私自身、多くのセレモニーに個人的にメッセージやメッセージカードなどを送ってきました。もし誰かの気持ちが少しでも楽になるのであれば、私に連絡するように伝えてください。 池田氏のポスト:心からお悔やみ申し上げます。 弟のゴーストをダウンロードしてローカルに保存しておけば、サーバーからデータが消えても、いつでも対戦できます。 ご冥福をお祈りいたします。 愛する弟を突然失うという最大の苦痛に襲われてしまったMelodic_Insect1356氏。弟との思い出を残したいという切実な願いがコミュニティを動かし、原田氏と池田氏も協力したことで、Melodic_Insect1356氏とNobleYato氏のAIゴーストはこれからも『鉄拳8』で兄弟喧嘩を続けられるようになりました。
Game*Spark いーさん
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