ビーガン・レストランのシェフを翻意させた「リジェネラティブ農業」とは(海外)
ロサンゼルスのセージ・ビーガン・ビストロ(Sage Vegan Bistro)が、肉、乳製品、卵の提供を開始する。 シェフによると、ビーガン食が環境にとってベストだと思っていたが、その後考えが変わったという。 同レストランは代わりに、環境再生型農業を支援する ── この動きはPETAが非難するものだ。 ロサンゼルスのビーガン・レストランのシェフが、レストランの店名を変え、肉、乳製品、卵も提供を開始すると発表した。 シェフのモリー・エンゲルハート(Mollie Engelhart)によると、セージ・ビーガン・ビストロを開店した当時は、ビーガン食がベストだと思っていたが、今では考えが変わったという。 新たにセージ・リジェネレイティブ・キッチン&ブルワリー(Sage Regenerative Kitchen & Brewery)と名前を変えたレストランは代わりに、環境再生型農業(リジェネラティブ農業)の支援に注力することにした、とエンゲルハートはインスタグラム(Instagram)の動画で述べた。 「すべて植物ベースのメニューだったけれど、今後は完全な環境再生型農場の高品質タンパク質だけに変更することにした」とエンゲルハートは述べた。 この投稿をInstagramで見る Sage Regenerative Kitchen & Brewery(@thekindsage)がシェアした投稿 2011年にエコー・パーク(Echo Park)内にオープンしたこのレストランは、その後カルバー・シティーとパサディナにもオープンし、菜食主義の顧客を増やしてきた。 だがロサンゼルス・タイムズが報じたところによると、5月末以降は牛やバイソン、目玉焼きなど、ビーガン以外の食材を使ったメニューも登場するという。 「一部の人にとっては、ショッキングなこと、嫌なことかもしれないけれど、これまでの7年間を振り返ると、クオリティーの高い食事を提供するために環境再生型農業へと移る中で、土壌や自然について多くのことを学ぶようになった」とエンゲルハートはインスタグラムの投稿で述べた。 タイムズに対しては「次のステップは環境再生型農業で、それが進むために必要なのは、時代の思潮や日々の会話の中に出てくることだと思う」と語った。 「これが、人々に選択肢を与えるという、私なりの貢献の仕方だ」と彼女は付け加えた。 環境再生型農業が目指すのは、荒れた土地を元の状態に戻して炭素を隔離することで、気候危機に対処することだ。とは言え、環境への影響についてはさまざまな意見がある。 カリー・インスティテュート・オブ・エコシステム・スタディーズ(Cary Institute of Ecosystem Studies)の元所長、ウィリアム・H・シュレジンジャー(William H. Schlesinger)が2022年に発表した学術レビューによると、環境再生型農業関連の活動は「実質、全有機炭素を大量に土壌で隔離すること」にはつならがらないということが分かったという。 中には二酸化炭素を排出することになる活動もあるという点もシュレジンジャーは指摘している。 エンゲルハートはロサンゼルス・タイムズに対し、今回の変更発表で「攻撃を受けて」いるが、「辛辣な言葉」を浴びることは覚悟していたと語った。 そうした反発は、すぐに起こった。 動物愛護団体のPETA(People for the Ethical Treatment of Animals)はインスタグラムの投稿で、「環境に配慮している、人道的であると見せかけて、肉、乳製品、卵を提供している」として、このレストランを非難し、今回の変更は動物たちへの裏切り行為だと表現した。
Joshua Zitser