「泊まれる学校」好調 1組限定貸切が奏功か 年3千人超の宿泊客見込む/兵庫・丹波篠山市
旧大芋(おくも)小学校を活用した宿泊施設「泊まれる学校おくも村」(兵庫県丹波篠山市中)の運営が好調だ。2020年4月1日オープンからコロナ禍を乗り越えて今年度まで、宿泊者数、地域住民らによる施設利用共に右肩上がりで、今年度の宿泊者数は昨年度より500人以上多い3000人超を見込んでいる。人口約700人、高齢化率52%超、毎年約20人が減少している過疎化の只中にある大芋地域を活性化させる拠点として奮闘している。 大芋小学校は明治6年の開校。142年の歴史を刻んできたものの、児童数の減少で2016年3月に閉校した。現校舎は01年に竣工。校舎の跡地活用として、地域活性化を推進するコミュニティー活動の拠点として校舎を改修し、おくも村が誕生した。一般社団法人・おくも村(勝木誠代表理事)が管理・運営している。 オープンしたのと同時期に新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に深刻化し、実質の運営開始は2カ月遅れの6月1日。3密(密閉・密集・密接)が避けられるとして、初年度はコロナ禍にもかかわらず宿泊者数は約960人、翌21年度は約1500人、22年度は約2500人だった。 「学校をまるごと1組限定の貸し切りで使えることが大きな魅力になっているのでは」と話すのは、泊まれる学校の校長を務める江坂道雄さん(72)。宿泊客の大半が阪神間の住民という。「大阪の市街地からでも、車だと約1時間半で来られるアクセスの良さも後押ししているのでは」
宿泊利用は8人以上から受け付けており、子連れの“ママ友”家族や、少年少女のスポーツ団体の合宿、大学生のサークルやゼミ、新人研修を行う企業などからの利用が多いという。 客室は15人部屋を2室、20人部屋を1室の計3室を備える。教室を改修した、柱のない広々とした空間と、壁に掛かる黒板が受けている。 宿泊客は、体育館でバスケットボールや卓球、運動会などを楽しんだり、グラウンドで打ち上げ花火やキャンプファイヤーを満喫したりしている。校舎全体を使ってのかくれんぼや、テレビ番組「逃走中」ごっこに興じる団体もあるそう。 素泊まり施設のため、宿泊客は家庭科室だった調理室で自炊。その際、大芋産のコシヒカリを販売しており、好評という。生活科室は大きな浴場になっている。