息子が東大だから老後は大丈夫…月収30万円・鼻高々の62歳埼玉バス運転手、大晦日に自慢の息子から放たれた「衝撃のひと言」【FPが解説】
実家を出て、数年が経過し、近ごろはとんと顔を見せに来なくなった我が子。今年も残り8週間。年末くらいは、と帰省した子どもとともに家族団欒の時間を過ごそうと計画している人も多いでしょう。しかし、久しぶりに会った子どもからは驚くような話をされることもあって……。本記事では、Aさんの事例から、親と子の老後のマネープランについて、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
頭のいい息子をもった父
Aさんは60歳定年後、月収30万円で再雇用として働いていました。仕事は埼玉のバス会社の運転手。Aさんには、妻と子(息子)が1人。Aさんは若いころ、就職するものの、長続きできる会社に巡り合わず、転職を繰り返していました。50歳になったころ、バス会社に入社し、そこからは10年以上続けられています。 Aさんの妻はパートで働いていますが、教育費がかかる40歳代の夫婦の世帯収入は400万円ほど(夫が月収25万円、妻が8万円)。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、40代前半の正社員の賃金は月37万円、40代後半では月39万円。正社員以外では月24万円。Aさんは正社員、非正規社員を繰り返しながら働いていたため、子どもを私立の学校に通わせるには経済的に苦しく、叶いませんでした。 Aさんの息子は、小学校の高学年のころは、家で留守番し、一人で過ごすことが多く、一昔前でいういわゆる「かぎっ子」。ゲームをすることもありましたが、ゲームソフトをたくさん買うことはできなかったため、留守番しながら、図書館で借りた本を読んで過ごすことが多かったようです。 中学時代の息子は友達と一緒に塾に通いたかったようですが、経済的に厳しい状況でした。なんとか高校受験期の夏期講習には通わせてあげることができました。それでも成績がよく、進学校に合格します。大人しい性格の息子は、塾に通えなかったので、毎日のように図書館に通い勉強をしていました。 息子は進学校なので当然のように大学に進学したいと希望します。私立大学に入学、進学となると、初年度で約137万円かかります。国立大学(東京大学)では82万円。せめて国立大学であれば奨学金を受けてもらいながら通わせてあげられると夫婦で仕事に励みました。 息子は夏期講習など、通わせてもらったものの、自力で頑張り東京大学へ進学。これにはAさんもビックリしましたが、最終学歴が高校卒業であることをコンプレックスに感じていたAさんにとっては、誇りであり自慢の息子です。 Aさんのバス会社では、息子が東京大学に入学してからは、ことあるごとに息子の自慢話をしていました。就職後も自慢話は尽きず、さらに「自分の育て方がよかったからだ、自分の老後は息子がいるから安泰だ」と鼻高々です。