ゴールドマン、ドル予想を下方修正-米金融当局の大幅利下げ受け
(ブルームバーグ): 米銀ゴールドマン・サックス・グループは、幅広い通貨に対してドルの見通しを引き下げた。米金融当局が大幅利下げに踏み切ったことを踏まえた。
同行は、米金利の低下とともにドルの魅力が薄れ、相場は徐々に水準を切り下げると予想。半面、ユーロやポンド、円など幾つかの主要通貨については、見通しを上方修正した。
米金融当局が50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅利下げで緩和サイクルのスタートを先週切ったことについて、同行は景気低迷に対して他の主要国よりも積極的に対応する姿勢を裏付けていると指摘している。
カマクシャ・トリベディ氏らゴールドマンのストラテジストはリポートで、「このバランスが長期的にドル安を促すと想定するものの、そのプロセスは、漸進的かつ上下動を伴うとなお見込んでいる」と説明。
その上で、「依然としてドルの高いバリュエーションは、性急あるいは容易に損なわれることはないと考えるが、ハードルがわずかに下がってきている」との見方を示した。
ドルの見通し変更に伴い、今後12カ月間のポンド予想は1.40ドルと、従来の1.32ドルから上方修正された。これは2021年以来の高値水準で、ウォール街でも最も強気な見通しの一部だ。
こうした背景には、イングランド銀行(英中央銀行)が利下げペースを加速させることに消極的な一方で、米国やユーロ圏では景気を支えるためにより積極的な緩和策が取られていることがある。多くのストラテジストや投資家が英中銀は最終的に利下げで他国・地域に追い付く必要があると述べるが、ゴールドマンは英国の成長はなお堅調だと指摘する。
トリベディ氏らストラテジストは、「リスクのベータ値と堅調な成長の勢い、さらに辛抱強い英中銀がポンドの支援材料となっている」と指摘。「市場は米リセッション(景気後退)リスクを除外しており、ポンドのようなプロシクリカルな通貨やリスク資産が有利となっている」と論じた。