訪問者（左）に福井の魅力をPRする県観光連盟の職員ら（ドイツ・フランクフルトで）＝同連盟提供

　北陸新幹線が延伸開業した福井県内で、学術や経済関係の大規模会議などが増えている。県などは、会議出席者が県内の観光名所を巡るなど旺盛な消費を期待して誘致活動を強化。国外からの誘客にも力を入れる。（川上大介）

空き時間活用

学会開催前に県立恐竜博物館を巡る医師（福山県勝山市で）

　福井市内で6月下旬に開かれた耳鼻咽喉科臨床学会の会議。参加した医師ら20人は会議前日に大型バスで県立恐竜博物館（福井県勝山市）に向かい、骨格標本などに見入った。東京都狛江市の医師（45）は「せっかく福井に来たので、空き時間を活用して観光名所も知りたかった」と喜ぶ。

学会の会場に設けられた観光PRブース（福井市で）

　約1000人が参加した会議の会場には、県観光連盟の観光PRブースが設置された。利用した北九州市の男性医師（58）は「福井は初めて。レンタカーであわら温泉（あわら市）に行く」と話していた。

多額の助成金

　県内で50人以上が参加する会議などの実績は増加傾向で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度は86件、感染が落ち着いた23年度は80件だったが、新幹線延伸後の今年度は約130件に達する見通しだ。

　要因の一つに多額の助成金がある。県などは新幹線延伸を見据えて19年度から、県外からの参加者が宿泊する大規模会議に対し、最大で900万円、国際会議だと1200万円を助成。22年度からは、県観光連盟が福井出身の研究者らに会議の福井開催を働きかけてきた。

　耳鼻咽喉科臨床学会の事務局担当者は「助成金と新幹線が福井開催を後押しした」としており、県は様々な会議などの参加者が観光地を巡り、観光振興に結びつくことを期待している。

国外から誘客

　県観光連盟が狙うのは、県内での国際会議開催や海外企業の研修だ。

　5月に、ドイツ・フランクフルトで開かれた欧州最大規模の専門見本市に初めて参加。欧米などの旅行会社や企業担当者らと計27件の商談を重ねた。英語が堪能な職員が曹洞宗大本山永平寺（永平寺町）や恐竜博物館などを紹介し、東京からの利便性の良さや助成金も説明。「東京や大阪以外の場所を探していた」「助成金を検討したい」といった反応があったという。