日本に留まる男子プロが世界から見捨てられる日…国内ツアーは米下部ツアーより格下扱い
【世界ゴルフ新潮流】 世界中のトップが集結した先の「全米プロゴルフ選手権」(ケンタッキー州・バルハラGC)。世界レベルの戦略的なコースの中でX・シャウフェレが、2020年全米オープン勝者のB・デシャンボー(共に米国)を1打差で退け、悲願のメジャー初優勝を遂げた。 【写真】松山英樹イライラ絶頂で取材拒否、直行した練習場でもクラブ叩きつける 国内男子ツアーは同週に「関西オープン」(滋賀県・名神八日市CC)が行われ、国内屈指の飛ばし屋・幡地隆寛(30)が国内ツアー初勝利をあげた。 この時、テレビ中継のアナウンサーは「あの飛距離で、すぐにでも米ツアーで戦ってほしい」と述べたところ、解説をしていた細川和彦プロが「いや、その前に日本ツアーで5勝、10勝ぐらいの活躍をしてから、世界で戦ってほしい」と言った。もっと優勝経験を積んでからでも遅くはないとの意見のようだが、それは的外れだ。 世界のゴルフツアーでは現在、オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング(OWGR)が主流になっている。そんな中で日本ツアーは完全に蚊帳の外だ。 ランキングのベースとなるポイントを見ると、例えば冒頭の全米プロ優勝が100ポイントに対し、関西オープンはたったの6.11ポイント。日本最高峰の「日本オープン」でさえ、昨年は6.63ポイントだった。まさに“雀の涙”。その原因は世界の流れに目を背けた国内プロゴルフ界にある。 先のOWGRでのポイントは、フィールドランキングが土台になっている。これは開催コースの難易度、出場選手の世界ランキング、注目度、賞金の高さなど、大会のレベルで格付けがされ、それによって優勝ポイントも決まる。このフィールドランキングの平均ポイントの順位では、1位4大メジャー、2位WGC(世界ゴルフ選手権=昨年で終了)、3位PGAツアー、4位DPワールドツアー、5位コーンフェリーツアー(米2部ツアー)、6位アジアンツアー、7位日本ツアー。 つまり、日本ツアーは米国の下部ツアーより下に見られているのだ。メジャーをはじめ、米ツアーの出場カテゴリーはOWGR50位以内が選考基準だが、現在50位のカート・キタヤマ(米国)の総合ポイントは100.40。日本ツアーで年間10勝しても届かない。また、フィールドレベルが低い日本ツアーでいくら勝っても、世界レベルの技術もメンタル力も身につかない。 いち早く日本を見限り、DPワールドツアーからPGAツアーに昇格し、今回の全米プロで18位と健闘した久常涼(21)の決断は正しい。 (宮崎紘一/ゴルフジャーナリスト) ◇ ◇ ◇ 国内男子ツアーの人気低迷ぶりは悲惨の一言に尽きる。日程は虫食い状態で録画放送がはびこり、コースは低レベル。そんな事態を招いた「元凶」について、●関連記事【もっと読む】…で詳しく報じている。