『ゼルダの伝説』実写映画化成功のためのポイントは? 任天堂がハリウッドに激震を与える
11月8日、人気ゲーム『ゼルダの伝説』がハリウッドで実写映画化されることが発表された。プロデューサーには、任天堂代表取締役フェローの宮本茂と、『スパイダーマン』シリーズの製作総指揮を務めたアヴィ・アラッドが就任。映画制作費の50%以上を任天堂が出資し、全世界配給と共同出資をソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが行うという。 【写真】“ムジュラの仮面”を身につけた海外のコスプレイヤー 任天堂とイルミネーションが共同製作した映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の公開以降、ファンの間では映画化を期待されていたタイトルだけに、国内外で大きな反響が巻き起こった。 実写版『ゼルダの伝説』は、どのような映画になるのか。映画ライターの杉本穂高氏は、今回の発表を受け、以下のように分析する。 「任天堂が50%以上を出資するため、映画化にあたってのクリエイティブコントロールも任天堂がイニシアチブを握ることになるのではないかと思います。また、共同出資を行うソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、『バイオハザード』シリーズなど、ゲームの実写化作品を数多く手がけてきたスタジオです。また、今回プロデューサーを務めるアヴィ・アラッドも、トム・ホランド主演の『アンチャーテッド』を成功に導いており、盤石の布陣といえるのではないでしょうか」 原作の評価が高いだけに、ファンの期待値も高まっている『ゼルダの伝説』の映画化。成功するためのポイントは、「没入感」にあると杉本氏は語る。 「『ゼルダの伝説』シリーズは、没入感の高いゲームなので、あの美しい世界をVFXでどこまで再現できるか、そして広大な世界が広がっていることに説得力を持たせるのかがポイントになるのではないでしょうか。また、アクションアドベンチャーらしいワクワク感のあるストーリーや、キャスティングも重要になってくると思います」
さらに、杉本氏は発表があったタイミングにも注目しているという。世界的なヒットを記録した映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の公開が、2023年4月のこと。年内に次のプロジェクトが発表されたことは、任天堂がゲームを中心としたIP事業を本格化させようとしている証拠だという。 「アメコミ映画ブームがトーンダウンしてきた今、ハリウッドは次のトレンドを探しています。任天堂が抱えているマリオやカービィといったキャラクターは世界的にも人気が高く、ディズニーのキャラクター並に知名度があると言えます。そんな任天堂が本格的に映画産業に乗り出すということは、今後のハリウッドに大きな影響を与えると思います」 また、杉本氏は任天堂だけでなく、日本発のIP自体に世界的な注目が集まっていると指摘する。 「映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や、Netflixの実写ドラマシリーズ『ONE PIECE』が成功を収め、今後さらに日本のIPの映像化は加速する可能性があります。4月に『聖闘士星矢 The Beginning』を世に送り出したばかりの東映も、まだまだハリウッドでの映画化に意欲的なようですし、日本のアニメやマンガには今海外からのオファーが殺到しているかもしれません」 『ゼルダの伝説』の実写化が成功した暁には、さらなる“任天堂シネマティックユニバース”が展開されることも期待できる。日本発のコンテンツに注目が集まっている今、『ゼルダの伝説』はうまく追い風に乗ることができるだろうか。
花沢香里奈