上毛三山の底力 元プロが父の健大高崎・高山が決勝打 センバツ
◇センバツ高校野球準決勝(30日・甲子園) ◇○健大高崎(群馬)5―4星稜(石川)● 【写真で見る】星稜vs健大高崎(準決勝) 徹底したアウトコース攻めを攻略した。七回に決勝打となる左翼線への二塁打を放った健大高崎の3番・高山裕次郎。この打席で講じていた「秘策」が見事に成功した。 星稜の先発左腕・佐宗翼との対戦だった左打ちの高山。一回は無死一、二塁で、捕手前に転がしたバントで走ることを怠り、併殺を食らうミス。2、3打席目は外寄りの変化球を引っかけて、いずれも内野ゴロに打ち取られ、いいところがなかった。 チームメートとベンチで情報交換していく中で、対策として浮かんできたのが、打席でホームベースに近づいて構えることだった。同点で迎えた七回2死三塁の打席では「半歩分(ホームベースに)近づいた」。5球連続で投じられた外角球にも余裕をもってバットが届くと判断すると、6球目の外角高めの直球を左翼線にきれいにはじき返し、二塁ベース上で派手なガッツポーズを決めた。 プロ野球・広島でスカウトを務める健一さんが父で、2017年のセンバツに健大高崎から出場し、社会人野球の強豪Hondaでもプレーした遼太郎さんを兄に持つ野球一家。今回の健大高崎の中軸は高山、箱山遥人、森山竜之輔と、名字に「山」が付いていることから、地元・群馬の「上毛三山(赤城山、妙義山、榛名山)」クリーンアップと呼ばれ、高山は3番を任されている。 昨秋の公式戦は出場校中トップのチーム打率3割9分7厘で、打力自慢のチームは2試合連続2桁安打となった。高山も「本来のプレースタイルで攻撃ができている。調子も上がってきた」と納得顔だ。準々決勝で左手中指を負傷したエース・佐藤龍月(りゅうが)も先発を回避し、2イニングのみの登板と温存できた。 チームの最高成績だった12年のセンバツベスト4を塗り替えた。青柳博文監督は「初のセンバツ決勝を楽しみたい」。群馬勢初の春の優勝まであと一つに迫った。【藤田健志】