「子どもを見守る母親の気持ち」にさせるJO1 海外ファンも夢中に 韓国のノウハウをフル活用した日本発グループは、世界的スターになれるか
11人組ボーイズグループの「JO1」は異色ずくめだ。メンバーは全員日本出身だが、楽曲や売り出し方はK-POPのノウハウをフル活用。かといって、韓国のボーイズグループのコピーでもない。オーディション番組を通じて結成された韓国のグループは多いが、彼らはもともと歌やダンスの練習を相当積んだ、いわば「セミプロ」。これに対し、JO1のメンバーの中には、歌もダンスも未経験の素人もいた。 台北のファン「愛してる」 JO1白岩さん主演映画イベント
ただ、そんな彼らが泥くさい努力を重ね、次第に成長していく姿が逆に共感を呼び、ファンの輪は国境を超えて広がった。現在、初のアジアツアーに挑んでいるJO1は、日本の枠を超え、世界的スターになれるのか。取材して見えたのは、グループと「JAM」と呼ばれるファンが、共にさらなる高みを目指す姿だった。(共同通信=加藤駿) ▽経歴も実力もバラバラ きっかけは2019年9月、日本の芸能界を大きく変える番組の配信が始まったことだ。韓国の人気オーディション番組の日本版「PRODUCE 101 JAPAN」。書類選考などを通過した101人の「練習生」から、新たなボーイズグループを誕生させるプロジェクト。画期的だったのは合格メンバーの決め方だ。審査員や運営側の意向ではなく、視聴者がインターネットで「推し」の練習生に投票した結果、11人が選ばれた。 この決め方は、番組の人気にもつながったようだ。視聴者が練習生の運命を決めるため、既存のオーディションよりはるかに感情移入しやすい。山口百恵さんやピンク・レディー、中森明菜さんらを輩出した「スター誕生!」や、「モーニング娘。」を生んだ「ASAYAN」など、業界側のプロが選ぶこれまでのオーディション番組とは決定的に違っていた。
番組のフォーマットは、男性グループ「Wanna One」や日韓合同女性グループ「IZ*ONE(アイズワン)」を生んだ韓国版とほぼ同じ。ただ韓国のアイドルは一般的に芸能事務所に所属し、長期トレーニングを受けた上でデビューする。韓国版「PRODUCE―」の参加者も、基本的には〝デビュー予備軍〟だった。一方、日本では番組の応募条件を「事務所未所属」にした結果、練習生の多くが素人になった。 集まったのは、就職活動中の大学生、高校卒業後にメーカーで働いていた社会人、別のグループで以前活動していた人…。経歴も実力もバラバラな者たちが、見る者を驚かせるほどの努力を積み重ね、ドラマチックに成長する姿が番組で話題になった。 ▽「ほんまにアホというか、良い意味で欲深いし、満足もしない」 見守るうちにファンになった人々は、「推し」をデビューさせようと、交流サイト(SNS)で応援活動を盛り上げた。このプロジェクトのために、韓国のエンターテインメント企業「CJ ENM」と日本の吉本興業が合弁会社「LAPONE(ラポネ)エンタテインメント」を設立。番組は練習生の動画をユーチューブで大量に無料公開し、インターネット上で拡散させた。韓国にならい、練習生の写真をファンが応援活動に使うことを認め、日本各地の駅などに応援広告が出たことも話題になった。