資産形成の入口は、「生涯労働」によって確保する
老後の生活や長生きリスクを気にする人は、「20歳以上の人なら多くの人が」という時代です。最近では、「年金」「将来の生活」を口にする学生も多いです。30代や40代ならばなおさらです。かつてのように年金と退職金での生活基盤があまり当てにできないのならば、どのような心構えが必要でしょうか。
20代:収入の多寡は二の次、まず働く
20代の若年世代は、とにかく不安。 「自分はここでやっていけるだろうか」 「パワハラに遭わないだろうか」 「思っていたことと仕事内容や職場環境が違っていたら、なじめるだろうか」 など、不安材料を挙げ出したらきりがありません。 学生時代の教職員と学生の関係は、いってしまえば「学生=クライアント」です。 教職員は、学生がつつがなく学生生活を過ごし、さまざまな知識や教養を身につけ学位を取得して卒業するように、学業面、生活面、資金面からのサポートや助言をするのです。 それに対して、学生や保護者は学校に対して入学金や授業料を納付する。こう考えると、顧客の『ために』企画を提案し、実施しサービスを提供するという経験は、社会人になってからが本格的にスタートします。 もちろん、学生時代に飲食店などでのアルバイトを通じて、顧客が満足できるようなサービスを提供する経験をしている人にとっては、「知っている」と言う方もいるかもしれません。ですが、アルバイトとフルタイム職員・社員は責任の重さ、期間の長さが違います。 アルバイトの身分であれば、「嫌なら辞める」という選択肢を採ることに社会も勤務先も本人も抵抗はありませんが、フルタイム勤務になれば、躊躇(ちゅうちょ)する力が大きくなります。 「退職の自由」「職業選択の自由」は従業員に保証されていますので、やろうと思えばやれます。ただ安易に退職すると、職業選択の自由の幅は狭まる可能性が高くなります。 次の応募先の採用担当者は、応募者の書類(履歴書)で判断しますから、「忍耐力がないのでは」といった烙印(らくいん)を押されてしまう恐れがあり、書類選考通過が厳しくなるかもしれません。 そういったケースが何度か続いて、応募そのものをあきらめてしまえば、老後の生活基盤を作ることが難しくなります。 将来を見据えたキャリア形成が必須の時代ですから、スタート世代こそ「コツコツ積み上げていくことができるか」「目先の心地よさを優先しすぎて30代、40代になって、後悔先に断たず、にならないか」を考えて、踏みとどまる選択も時には求められます。