上田麗奈、“魔性”の魅力をあえて封印? 『アオのハコ』で見せる正統派ヒロインの質感
『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載のマンガを原作としたアニメ『アオのハコ』が、10月から放送スタート。甘酸っぱい青春を描いた恋愛ものとして大きな話題を呼んでいるが、とくに注目したいのが“正統派ヒロイン”らしい演技で作品を引っ張る声優・上田麗奈の存在感だ。 【写真】上田麗奈・千夏先輩の“頭ポンポン”が実現? 『アオのハコ』の舞台は、スポーツの強豪として知られる中高一貫校の栄明学園。そこで男子バドミントン部の猪股大喜は、1学年上の鹿野千夏に恋をする。彼女は女子バスケットボール部のエースにしてマドンナで、学内トップクラスの人気者なのだが、とあるきっかけによって2人の距離は一気に縮まっていく……。 上田が演じているのは、この千夏先輩。運動部らしく明るい性格で、無自覚に男子にモテているものの、今は色恋よりもバスケが大切というスタンス。同じくスポーツに打ち込む大喜と正面から向き合い、お互いに励まし合いながら上を目指していく……というさわやかな役どころだ。 また、あざとくもなく、等身大に生きている“ふつう”の女の子であることも大きな特徴。ラブコメや恋愛ものにおいて、主人公が憧れの眼差しを向ける正統派ヒロインを具現化したようなキャラクターとも言えるだろう。 とはいえ、こうした役柄は今までの上田のイメージからすると若干ギャップを感じさせる部分がある。というのも上田といえば、“魔性”という形容が似合うようなミステリアスな女性キャラを演じることに定評があったからだ。 たとえば代表的な役柄といえば、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のファム・ファタール的存在であるギギ・アンダルシア、『ハーモニー』に登場するカリスマ的少女、御冷ミァハなどが挙げられる。 そのほか『SSSS.GRIDMAN』の重要キャラクターである新条アカネや、謎めいた言動で主人公を翻弄する劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』のヒロイン・佐上睦実なども、同系統の役柄として挙げられるだろう。 主人公や視聴者にとって神秘や未知を体現する存在として現れ、世界の謎をその背後に垣間見せる……。そんな役柄を、独特の透明感のある声によって成立させるのが上田の十八番だった。 また、それ以外にも上田は『プリパラ』の黄木あじみや『私に天使が舞い降りた!』の星野みやこ、『マッシュル-MASHLE-』のレモン・アーヴィンなど、クセの強いキャラクターを演じてきた。そうしたキャリアの中に並べると、『アオのハコ』の千夏役はやはりギャップの大きな役柄だと感じられる。