近づく米雇用統計の年次基準改定、波乱の可能性にエコノミストら警戒
(ブルームバーグ): 米労働市場は2024年、年半ばに多くの専門家が予想していたより堅調だったようだ。年央あたりには失業率が大きく上昇したほか、雇用創出も弱く、米金融当局が警戒を強めていた。
政策当局は年央を過ぎた後、労働需要は緩やかだが依然として健全だとの見解に改めた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、労働市場は「堅調だ」と評した。
データはその見解を裏付けているようだ。10日に発表される昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比16万5000人増になると市場では見込まれている。3カ月移動平均では約14万3000人増となる。新型コロナ禍からの回復期に見られた大幅増加と比べると勢いは鈍いが、決して憂慮すべき伸びではない。実際、12月分としては2019年と18年の実績に沿った数字だ。
一方、エコノミストらが警戒しているのは雇用統計の年次ベンチマーク(基準)改定。非農業部門雇用者数の年次改定は、2月7日に発表される1月分の雇用統計に反映される。昨年8月に発表された推計値では、24年3月まで1年間の雇用者増が81万8000人の下方修正となることが示された。これはリセッション(景気後退)期だった2009年以来の大きさだ。
フィラデルフィア連銀は州レベルの数値を基に、雇用軟化の傾向は24年3月より後、4-6月(第2四半期)も続いた可能性が高いと指摘している。
BNPパリバのエコノミストは、この下方修正分の半分が3月より後も続いていたと仮定した場合、最近の非農業部門雇用者数は月間10万人増ほどに鈍ると予想した。
原題:Revisions Loom Over the Resilient US Job Market: Economics Daily(抜粋)
--取材協力:Alexandre Tanzi、Zoe Schneeweiss.
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Cecile Daurat