ミャンマー出身の森崎ウィン「我慢をさせられることが多かった」
ハリウッド映画からミュージカルの舞台まで幅広く活動している俳優・歌手の森崎ウィン。次回出演する2人ミュージカル『ジョン&ジェン』の取材会では、複雑な背景を持つジョン役について、自分と重ね合わせながら語る場面があった。 【写真】爽やかな笑顔でポーズを決める森崎ウィン ■「うちの家庭も外国に出てきていろいろあった」 ジョン&ジェンの若い姉弟と、成長して母となったジェン&息子のジョンという2つの時代の話を、シンプルな舞台美術&生演奏で見せていくミュージカル。普通とは言いがたい家庭環境で育った「2人のジョン」の姿には、ミャンマーから日本に移住してきた、自分の家族の姿と重なる瞬間があったと言う。 「うちの家庭も外国に出てきていろいろあったし、特に僕は長男だから、すごく我慢をさせられることが多かったんです。ただそういう環境だからこそ、兄弟の絆が強くなったりもしたので。だから脚本を読みながら『めっちゃわかるなあ、ジョン君』と思いました」と語ると同時に「でも(自分と)重ね過ぎたら、ちょっとしんどくなるんです。ジョンというフィルターを通して、マイルドに調理できたらいいなあと思います」という抱負を述べる。 ■「本番に入っても模索しているかもしれない」 幼児から大人まで、さまざまな年代の人を演じ分けなければいけないというのが、今回のジョン役の大きな課題。Wキャストの田代万里生に対して「声の使い方の幅が広くて、すごく(年代の変化が)伝わってくる」と感心するかたわら、森崎は「リズム」を大事にしているそう。 「2人のジョンが、なにが好きでなにが嫌いで、なにがしたくて生きているのか? などを考えるなかで、彼らが奥底に持つリズムをとらえようとしています。『1人目のジョンは活発だから、ビートが早いんだろうな。だったらこのリズムで行けば、この脚本と歌にハマるだろう』というのが、ちょっとずつ見えてきました」と手応えを明かしつつ「正直かなり難しいから、本番に入っても模索しているかもしれない。でもせっかく(舞台は)稽古期間があるので、いっぱい試したいと思います」と、前向きな姿勢を見せていた。 森崎と田代だけでなく、ジェン役も新妻聖子と濱田めぐみのWキャスト。演出・翻訳・訳詞・ムーブメントは、英国の演劇界でも活躍する市川洋二郎が務める。12月の東京公演を経て、大阪は12月26~28日に「新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)にて。チケットは1万円で、現在発売中。 取材・文/吉永美和子