馬場雄大が泣いた日から半年 頼れる男になった28歳は「次、勝っても、泣かない」
【日本代表の軸は渡邊雄太と八村塁だけじゃない】 馬場も、今はより「日本の一員として戦う」心境でコートに立っているという。 「ワールドカップでは正直、結果を出そうとしすぎたところがありました。でも、Bリーグに入ってからは、なにか違うんじゃないか、バスケットボールはひとりだけがよくてもいけない、みんなで一緒に上がっていくものじゃないか、もっとチームメイトを大切にすることやポジティブで明るいエネルギーを与えるのがいいのではないか......そんなふうに、ワールドカップ以降の意識は変化してきました」 世界大会での8連敗、海外での修業の日々、そしてワールドカップでの歓喜──。そうしたさまざまな経験が、馬場雄大という選手をひと回り大きな人物にした。 2022年から、トレーニングの一環として瞑想も取り入れているそうだ。あるいはそれも、彼を地に足のついた姿勢にさせているのかもしれない。 パリオリンピックで、日本は個に頼るのではなく、あくまでチームとして「1+1」を「2」以上にするような戦いをしなければならない。そして同大会では、渡邊と八村塁(SF/ロサンゼルス・レイカーズ)というふたりのNBAプレーヤーが参戦すれば彼らを中核とするのを承知しながら、馬場という「頼れる男」の力量にも期待せずにはいられない。 負の連鎖は、沖縄でのワールドカップで断ち切った。パリには、勝ちに行く。 柔和な笑顔をたたえながら、馬場が言う。 「次、勝っても、泣かないと思います」
永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka