「看取りは儲かる」「死亡当日には約1万7800円」「必要な貯金は300万円」 死に際がビジネスになった介護制度の「衝撃の裏側」
生き残りをかけて編み出したスキーム
看取りビジネスにも変化が
高齢化が進み、年間死者数が150万人を超える多死社会に突入した日本。疲弊した社会保障制度の中で、介護業界が目を付けたのは「看取り」だった。サービスの対象として単位化され、報酬の源泉となった老人の死に際。果たしてこれが、我々の望んだ社会なのか――。 10人に1人は老人ホームで最期を迎える いかに死ぬか――。 どう生きるかが重要視される現代にあって、どう人生の幕を下ろすかは誰もが避けて通れない問題である。特に「病院死」が大半を占める我が国において「どこで死ぬか」は多くの人の関心事であり続けた。 介護保険制度がスタートした2000年、老人ホームで亡くなる高齢者は全体の1.9%に過ぎなかった。それが20年には9.2%にまで増加し、今や10人に1人は老人ホームで最期を迎える時代。終末期に差し掛かった高齢者にとって、介護施設での看取りが「病院死」「在宅死」に次ぐ第三の選択肢となっているのだ。 本誌(「週刊新潮」)ではそんな介護の現場で、事業者による「囲い込み」や「介護漬け」が横行し、虎の子の「介護保険」が破綻の危機にあることを報じた。 だが問題はそれだけにとどまらない。近年の介護業界で、決してホンネで語られない事実。それこそが「看取り」なのである。 介護施設を探したことがある人なら一度は「看取り対応可」や「ターミナルケア」と謳う施設を目にしたことがあるのではないだろうか。実は、このように介護事業者が「看取り」を前面に押し出して宣伝するのには理由があった。 誤解を恐れずに言えば、「看取りは儲かる」のだ。 終末期介護のカラクリ。この問題に踏み込む前に、まずは「囲い込み」と「介護漬け」について振り返っておきたい。 問題になっているのは、自立した高齢者向けの賃貸住宅である「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と、「住宅型有料老人ホーム(住宅型ホーム)」である。
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「週刊新潮」2023年7月27日号掲載