『塩田千春 つながる私(アイ)』大阪中之島美術館で 3つの「アイ」で他者との「つながり」にアプローチ
「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、作品を通じて「生きることとは何か」「存在とは何か」を問い続けている現代アーティスト・塩田千春。日本のみならず世界の現代美術界を代表する塩田が、出身地の大阪で16年ぶりに開催する大規模な個展が、9月14日(土)から12月1日(日)まで、大阪中之島美術館で開催される。 【全ての画像】塩田千春《巡る記憶》ほか広報用画像 1972年に大阪府に生まれ、現在はベルリンを拠点とする塩田は、2008年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を、また2020年に第61回毎日芸術賞を受賞。2019年に東京・六本木の森美術館で開かれた過去最大規模の個展『魂がふるえる』をはじめ、世界各地の美術館で個展を開催し、大きな反響を呼んでいる。 今回の地元・大阪での展覧会は、全世界的な感染症の蔓延を経て、多くの人とのつながりに気づくことができたという塩田が、「私たちは、いつも何処かでつながっている。そんなことを再確認できる展覧会にしたい」という思いとともに企図したもの。そのために塩田が取り組むのは、「私/I」「目/EYE」「愛/ai」という3つの「アイ」を通じて、他者との「つながり」にアプローチすることだという。この3つのそれぞれの要素が様々に作用し合いながら、私たちと周縁の存在をつないでいるという考えが、3つの「アイ」という発想のベースとなっている。 同展の大きな見どころは、新作や国内未発表作品を含む大規模なインスタレーション作品が展示されること。塩田の代名詞とも言える糸を使った作品をはじめ、約1700㎡、天井高6mの広大な会場を舞台に、6点のインスタレーション作品が展開される。 また、今回特に注目されるのは、「つながり」をテーマとしたテキストメッセージを広く一般から募集し、その寄せられたメッセージを用いて塩田が新作インスタレーションを制作・発表するという試みだ。メッセージの書き手と作家の塩田、そして会場で作品を観る者たちが「つながり」を実感できる展示となることだろう。 同展では、こうしたインスタレーションを中心に、絵画、ドローイング、立体作品、映像など、多様な手法の作品を見ることができる。来場者それぞれが主体的な「つながる私」となり、作者や他者、そして自らと親密な対話を交わす時間をすごせる展覧会となるに違いない。 <開催概要> 『塩田千春 つながる私(アイ)』 会期:2024年9月14日(土)~12月1日(日) 会場:大阪中之島美術館 5階展示室