「ただの無料貸本屋」ではない…日本が見習うべき「アメリカの図書館」の「意外な動向」
アメリカのZ世代(2022年時点で13~25歳)やミレニアル世代(同26~40歳)の図書館利用の実態がおもしろい。なかなか意外な結果になっているし、アメリカ図書館協会(ALA,American Library Assoxiation)の提言も、日本の本好きがよく言うステレオタイプな「図書館かくあるべし」論とは違うものだ。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言
Z世代が図書館を利用するためには、物理的なスペースと印刷物が必要
ALAからポートランド州立大学のカティ・インマン・ベレンス(Kathi Inman Berens)、レイチェル・ノオルダ(Rachel Noorda)による『Z世代とミレニアル世代公共図書館の利用方法とメディア利用による識別』(Gen Z and MillennialsHow They Use Public Librariesand Identify Through Media Use)が発表された。 この調査ではZ世代とミレニアル世代の54%が12ヶ月以内に物理的な図書館を利用したと回答しているが、これはほかの報告書でも示されている図書館の利用率に非常に近い。 ラテンアメリカ系、アジア系アメリカ人のZ世代とミレニアル世代は、「公共図書館で書棚を閲覧すること」が、「ソーシャル・メディアでスマホで」に次いで「本を発見する場所」として第3位だった。 図書館はZ世代とミレニアル世代にとっての「本のショールーム」なのだ。 Immersive Media and Books 2020の調査では、3人に1人が図書館で初めて見つけた本を購入していることがわかっている。ある場所で見つけた本を、別の場所で買ったり借りたりすることが多いのである。中身や評判を確認してから買うのが当たり前の世代にとっては、無料でさまざまな本を手に取ってたしかめられる図書館がうまく適合している、と言う。日本では2000年代から「図書館は書店の売上を奪う」論(公共図書館無料貸本屋論争)があるが、対してアメリカでは若い世代が本を見つけ、試しに読んでみて、購買につながる場所として機能していると評価されている。