【独自】市長が「外国の人は30ドル、市民は5ドルぐらいに」と話した姫路城入城料、市民以外は2~3倍に値上げへ 訪日客に特別プランも
世界文化遺産・国宝姫路城(姫路市本町)の入城料(18歳以上千円)について、姫路市が市民以外の料金を現行の2~3倍となる2千~3千円程度に値上げする方針を固めた。外国人観光客向けに食事の割引や手荷物預かりサービス付き「プレミアムプラン」の新設も検討。城の維持管理費を確保するのが狙いだが、国内の他の城郭よりも高い料金設定に、観光客らの理解が得られるかどうかが課題となる。(井上 駿) 【写真】1989年10月、火気厳禁のはずの姫路城三の丸広場で行われたバーベキュー大会 姫路城の入城料を巡っては、清元秀泰市長が6月、市内であった国際会議で「外国の人は30ドル払っていただき、市民は5ドルぐらいにしたい」と発言。市は石垣の耐震化など城の維持管理に必要な財源を確保するため、料金体系の見直しを進めていた。 当初は訪日客に限って値上げする案が出たが、庁内や市議会から「城のイメージを下げる」と慎重な意見が相次いだ。関係者によると、指摘を受けて市は、市民と国内外の観光客とで価格差を設け、訪日客向けにサービスを充実させたプレミアムプランを新設する方針に転換したという。 同プランには、入城料に加え、飲食店の利用割引や手荷物の預かりサービスなどを盛り込む案が出ている。内容が固まり次第、価格を決めるという。市民は現行料金を据え置く見込み。 国内の他の城郭でも入城料の値上げが相次ぐが、姫路城の価格設定は目を引く。大阪城天守閣(大阪市)は2025年大阪・関西万博の開幕と同時期に現行の倍となる1200円に上げる。国宝では松本城(長野県松本市)が来年4月、現行の700円から電子チケットは1200円、紙は1300円にする予定。彦根城(滋賀県彦根市)と犬山城(愛知県犬山市)、松江城(松江市)も価格改定を検討している。 海外では外国人と自国民とで二重価格を設けている観光地がある。南米ペルーの世界遺産「マチュピチュ」は、外国人の入場チケットが同国民らの約2倍(約9千円)に設定。インドの「タージマハル」でも、同国民の約22倍(約1900円)にしている。 姫路市は文化庁とも協議し、26年春ごろの価格改定を目指すという。