問題山積、石破首相の双肩にかかる重圧 安倍元首相提起「核問題」は棚ざらしのまま…緊張高まる国際情勢
しかし、取り残された巨大な問題が山積している。
サイバー防衛は無能なままであり、エネルギー安保、食糧安保、シーレーン防衛は、検討の俎上にさえ乗っていない。ましてや有事の際の国民保護、民間防衛に至っては、沖縄の先島諸島を中心にようやく検討が始まったに過ぎない。
これでは軍国主義時代と同様に、銃後の国民を忘れた無責任な政府といわれても仕方があるまい。そして何より、安倍元首相が提起された「核問題」は棚ざらしのままである。
石破首相の手腕が問われている。
■兼原信克(かねはら・のぶかつ) 1959年、山口県生まれ。81年に東大法学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受勲。著書・共著に『日本人のための安全保障入門』(日本経済新聞出版)、『君たち、中国に勝てるのか』(産経新聞出版)、『国家の総力』(新潮新書)など多数。