全日本選抜で吉田と伊調がV。リオ五輪に近づいた2人はなぜ負けないのか。
レスリング全日本選抜選手権の男女7階級が21日、東京・代々木第2体育館で行われ、女子の53キロ級で吉田沙保里(ALSOK)が2連覇。58キロ級では伊調馨(ALSOK)が連覇した。 今大会は、リオデジャネイロ五輪の出場枠がかかった世界選手権(9月7日から13日まで米国ラスベガス)の事実上の代表選考会で、2人は、4度目の五輪金メダルへまた一歩、近づいた。2歳違いの吉田と伊調が初めて日本代表になったのは、2002年のこと。それから13年、二人はずっと勝ち続けている。なぜこれほどまで長い間、勝ち続けられるのか。 「当たり前だけど、負けないからだよね。今となってはどっちが先か分からないけれど、勝つことで連覇への意欲が高まり五輪金を続けたいと思う。それが繰り返されている」 二人の恩師でもある栄和人・強化部長は、二人の強さは好循環が最大の理由だという。同様な質問を関係者に繰り返したところ、「こんなに勝っていたら、続けるのが楽しくなるだろうなあ」とうらやましい気持ちを隠さない人もいた。 二人のモチベーションが他選手より高いという指摘も多い。練習で手を抜き流すということがなく、試合と同じ緊張感を保ち、集中したトレーニングを続けている。ベテランとなって練習時間こそ減らしているが、その質が高いので、若手選手の見本になると評判だ。ではなぜ、他の選手のモチベーションは二人と同等にまで高まらないのか。 起業に成功した会社やプロジェクトのマネジメントの世界でもよく言われことだが、創業メンバーは後進よりモチベーションが高いものだ。創業時のそれは苦労をものともしない高揚感があってこその産物のため、もし事業継続を望むなら異なる段階のモチベーションを考えねばならない。吉田と伊調は、女子レスリングが、初めて五輪の正式種目となったときから現在まで、ずっと世界一を続ける、いわば創業メンバーなのだ。