童謡歌う「安田シスターズ」結成のきっかけ…紅白歌合戦からの〝卒業〟に「お姉ちゃんがいるじゃない」と母の一言
【デビュー55周年 由紀さおりのマルチな才能】 デビュー55周年を迎えた歌手、由紀さおり(77)にとって、童謡は、その歌手人生で欠くことのできないものだ。姉である安田祥子(82)と童謡を歌うデュオは「安田シスターズ」として親しまれている。姉とのデュオの誕生は、「夜明けのスキャット」以来、10年間出場していた「NHK紅白歌合戦」で11年目に選外となったことに端を発するという。 【画像】デビュー55周年のシングル「人生は素晴らしい」のジャケット写真 「なぜ紅白を卒業になったのか、私には分からなくて。だから、NHKが呼んでくれないなら、私がNHKホールを借りてコンサートをやりたいって思ったの。それでデビュー15周年に向けて、頑張ったのよ。でも直前になって、いざコンサートという話になったら、一人で2時間もやるのはきついなってだんだん思うようになったのよ」 そんな時、事務所の社長だった母から言われたのだ。「お姉ちゃんがいるじゃない」と。 「姉は海外にいたんだけど、子育てを日本でしたいということでちょうど帰国していたの。そして友達と一緒に〝日本歌曲を歌う夕べ〟みたいなことをやっていたんだけど、母は待ってましたみたいな感じで姉の名前を出してきたんです」 そんないきさつから15周年のコンサートで、2人で15分ぐらいのメドレーを歌ったところ、観客のアンケートでは2人の歌をもっと聴きたいという意見が圧倒的だった。 「母が、それならばアルバムを出そうと言い出して、レコード会社に直談判して。でも、レコード会社も売れるかわからないので、数百枚しかプレスしないと。なので、コンサートで手売りするから5000枚作ってもらったんです」 コンサートを開き、握手会をしてはレコードを手売りした。そこから「安田シスターズ」の活動は本格化したのだ。しかし、声楽家の姉とポップス歌手の自身とでは歌い方もまるで違った。 「お姉ちゃんは一番響きやすいキーよりもちょっと下げて、私はお姉ちゃんのキーに寄り添うように少し高めを歌って。そんな役割分担の上で、私は〝由紀さおり〟風に歌わず、お姉ちゃんはクラシックの発声で歌わず、安田シスターズサウンドができたんです」 (福田哲士) ■由紀さおり(ゆき・さおり) 歌手、女優。1946年11月13日生まれ、77歳。群馬県出身。69年、由紀さおりとして再デビュー。同年のNHK紅白歌合戦に初出場。73年の「恋文」で、第15回日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞。2012年に紫綬褒章を受章。
デビュー55周年のシングル「人生は素晴らしい」、3枚組ベスト盤「由紀さおりベストオブベスト」(ともにユニバーサル)をリリース。記念ツアー「新しいわたし」を全国で開催中。5月17、18日にはパリ公演も行う。