クリスマス大好き『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』/テレビお久しぶり#81
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『バナナマン日村が歩く!ウォーキングのひむ太郎』(毎週火夜10:00-10:30、BS朝日)をチョイス。 恋愛はゲームだ『恋するシナリオ』/テレビお久しぶり#80 ■クリスマス大好き『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』 私はクリスマスに特別な思い入れを持っている。理由は分からないが、ふとクリスマスのことを考えると、胸がグンと苦しくなり、シャンシャンと雪が降り始め、私の頭上をトナカイが飛んでゆく。恋に近いような感覚で、クリスマスそのものより、クリスマスによって浮かれている街並みや人々への感傷が強い気もするのだが、じゃあそれらに何を期待しているのか、となるとまた分からない。クリスマス当日も、特に何かするわけでもない。近付いてくれば胸が躍り、当日は特に何もせず、去っていったら泣く、これが、私とクリスマスの付き合い方であり、やはりクリスマスというものは、ただ目の前を過ぎ去っていくだけに過ぎないのだろう。なるほど、クリスマスというのは、時間そのものなのかもしれない。いや、時間そのものであるのは間違いないのだが、もっとその、戻ってくることのない、その場限りの風のようなもの……。 たとえば既に過ぎ去った青春というのは記憶の中でキラキラと光っている(こともないが)けども、実際に照明か何かが光っていたわけではない。しかし、クリスマスは、キラキラと光っている。火やイルミネーションで、物理的にキラキラと光っているのだ。目の前を、光る季節が、通り過ぎていく、クリスマスに恋焦がれやすいのは、その光に原因があるに違いない。時間に照明がついているから、来るのも去っていくのも、よく見える。 クリスマスへの思いをほんの少しでも分析できたところで、早速テレビを見よう。とは言っても俺は今クリスマスの番組しか見たくないぞ……ということでTVerの検索窓に『クリスマス』と入力してみると、ウォーキングのひむ太郎がイルミネーションを見ながらウォーキングをしていた。ウォーキングのひむ太郎しか勝たん。この『テレビお久しぶり』でも幾度となく紹介している大好きな番組とクリスマスのコラボ、相変わらず面白く、生っぽい番組だ。喋っている日村よりその頭上を飛んでいる飛行機を映してみたり、特にラスト、スケートリンクをバックに締めるところが素晴らしい。街は常に動いているということを再認識させてくれる。 今回のウォーキングの舞台は、恵比寿~広尾~六本木。オシャレでセレブな街、といういわゆるな印象の強いルートだが、私はこういった、都会らしい都会の街、というのが大好き。今のところ骨は杉並に埋めるつもりでいるが、この辺りをおっかなびっくり散歩するのが楽しくて、「俺はここには場違いだ」という卑屈な思い込みが散歩をより一層盛り上げるのだ。きっと私はクリスマスともおっかなびっくりな付き合いをしていて、自分などクリスマスに相応しくないとどこかで自認している。だから好きなのだろう。