国交省と警察庁が50ccと同じ税金額を要望! 『新原付』は来年4月1日施行に向けて最終調整へ……〈多事走論〉from Nom
警察庁・国交省・総務省・経産省の足並みを揃える必要があった
とはいえ、新基準原付の概要が発表されてから8か月も経過してしまったのはなぜなのでしょう。 関係者によると、新基準原付についてはいくつもの省庁がかかわっていて、省庁間の取りまとめ・意思統一が必要とのこと。道交法改正が警察庁、車両運送法の改正(車両区分で、原付を現行の50cc以下から125cc以下に変更が必要)が国土交通省、税金が総務省、二輪車というカテゴリー全体については経済産業省と4つの省庁が関係していてなかなか足並みが揃わなかったといいます。 しかし、改正案の公布→6か月以上の周知期間と施行まで時間がかかる最難関の道交法改正のメドが立ちました。 残るは道路運送車両法の改正と税金の問題。道路運送車両法は国会での決議が必要なく、公布と施行が同時でもOKなので来年3月までに方針が決まれば問題ありません。 ただ、税金(軽自動車税)に関してはしかるべき手続きが必要で、現行の原付一種は2000円/年で、90cc以上125cc以下の原付二種は2400円/年。当然、二輪業界側は排気量は125㏄以下でも「原付」なのだから2000円/年を希望しています。 新基準原付の税金を2000円/年に決めるには、税制改正が必要で、そのためには年内に行われる税制改正大綱にその旨が記載されなければいけません。そして、来年、つまり令和7年度の税制改正要望は各省庁から8月中までに取りまとめて総務省に提出されています。 軽自動車税については、下記のように警察庁から要望が提出されています。 ・措置の内容 車両区分の見直しにより新たに「第一種原動機付自転車」(「一般原動機付自転車」)に該当するとされる排気量 125cc 以下かつ最高出力4kW 以下の二輪車について、現行の第一種原動機付自転車の軽自動車税の標準税率を参考としつつ、適切な税額の適用を要望する。 つまり、新基準原付についても現行の原付一種と同様の税額とすることを求めているのです。 さらに、国交省の要望にも他官庁主幹という項目の中に ○第一種原動機付自転車における車両区分の改正に伴う同区分に係る軽自動車税の見直し という文言が入っています。 このように、税額こそ明記されていませんが、新基準原付の税額も現行の原付一種と同様にという意向が税制改正要望に記されています。 税制改正は、通常、国会審議を経て3月末までに承認されて4月1日から施行というスケジュールとなっています。道交法の改正も4月1日からと、ここにきて各省庁の足並みが見事に揃ってきたようです。 免許区分も車両区分も、そして税額も二輪業界が望んだ方向でしっかり動き始めたことは何よりの朗報です。 ただ、新基準原付の報道があって以来、YouTubeを含むSNSで「原付免許で125㏄まで乗れるようになる」という誤った認識が拡散されているのを見聞きします。これも、昨年12月の発表以来、確たる情報がなかなか発表されなかったことが一つの要因かと思います。 まずは、10月1日に改正道交法が公布されて、新基準原付とはいかなるものかが誰の目にも明らかになることが大事で、そうすることでマーケットに新基準原付というカテゴリーが大きな混乱なしに浸透していくのではないでしょうか。 いずれにしても、昨年12月以来、やきもきしていた件がひとつ解決しました。 みなさんも、警察庁のウェブサイトから新基準原付についての意見をぜひ投稿してください。 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
●文:Nom(埜邑博道) ●CG製作:SRD(不許複製/All rights reserver)
【関連記事】
- おっさんホイホイで何が悪い? ヤマハXSR900 GPに思う「バイク界の盛り上げは若者とベテランの両取りが必要」……〈多事走論〉from Nom
- 限定解除や大型二輪免許にトライ! コロナ禍でバイクに乗り始めたライダーたちの今……〈多事走論〉from Nom
- ホンダ50cc原付、来年5月の生産終了を「正式に公表した事実はない」って?! 代替の新原付はどうなる?……〈多事走論〉from Nom
- ホンダ、ヤマハの苦悩もコンテンツ化できる? F1興行主がMotoGPを約6820億円で買収……〈多事走論〉from Nom
- 【普通車の半額】バイクの高速料金割引、距離条件が20km短縮され申し込みも少しだけ便利に……〈多事走論〉from Nom